音楽の珍味

獅子舞『3.21獅子舞』

 このCDは、80年代の日本にいたファンクバンド〈獅子舞〉のデビューアルバム『3.21獅子舞』である。これには、同時代のアメリカのファンクバンド〈クライマックス(Klymaxx)〉の曲「Sexy」のカバーが収録されている。
 昔の某道内テレビ局の某深夜番組のCMにこの曲が使われていたような記憶があるのだが、獅子舞版なのか、クライマックスのオリジナル版なのかは不明。そもそも、私自身の記憶が怪しい。
 このアルバムジャケットは、ギリシャ神話のゼウスとレダ(傾国の美女トロイのヘレネの両親)の話を元にしたエロティックな絵を使っているので、写真撮影の際には肝心なところ(笑)を私の指で隠している。このような絵を使う辺りからも察せられるように、獅子舞は少なくともデビューアルバムの時点では、エロティックな雰囲気を売り物にするバンドだった。

 いかにも肉食系の雰囲気をかもし出しているお姉さんたちとお兄さんの3人編成のバンドというのが、デビュー当時の編成だったらしいが、後に男性メンバーが脱退して、新たに女性メンバーが加わったようだ。インターネット上であれこれ検索してみても、めぼしい情報がない。数少ない証言となる記事には、このバンドは少なくとも2枚のアルバムと数枚の12インチシングル(現在のCDで言うマキシシングル)を出していたという情報がある。

 アルバム収録曲「少年メロン」の歌詞は、今なら倫理的に問題があると見なされるだろう。歌詞の中の「少年」をぎりぎり18歳くらいにしておかないと、まずい。あるいは、年齢自体を出さないでおくかだ。ちょっと昔までは大目に見られたシチュエーションでも、現在の日本社会のモラルでは批判されそうだ。まあ、歌詞の中の「少年」は多分、後にいわゆる「ちょい悪オヤジ」になっていそうだな。

 このアルバムにはプリンスの「1999」のカバーも収録されているが、あのプリンスの影響を受けているならば、エロティックな雰囲気をかもし出していたのもさもありなん。ちなみに私の弟はプリンスと同じ誕生日だが、プリンスは生前紫をイメージカラーにしており、私の弟は十代の一時期に紫色のジャージを好んで着ていた。しかし、多分プリンスの影響ではない。私が知る限り、当人は洋楽に対して全く興味がなかったので、プリンスの存在自体を知らなかった可能性はある。


七福神『七福神』

 次は、前述の獅子舞と同じく80年代の日本に存在したエスニックポップバンド〈七福神〉のデビューアルバム『七福神』である。ジャケットにある「WE ARE HERE」は題名ではなくキャッチコピーである。私はこのバンドを今はなきFMステーション誌で知ったのだが、確か東京都内にあったライブハウスのオーナーさんが結成したバンドだったという記憶がある。

 このバンドは、女性ヴォーカリスト2人(そのうち一方は、テクノポップバンド〈コスミック・インベンション〉の元メンバーだった)と黒人男性ベーシスト兼ヴォーカリストを擁する多人数・多国籍バンドだった。私、多人数バンド萌え傾向があるのね。サザンオールスターズ、チェッカーズ、米米CLUB、クレイジーケンバンド辺りが私の「多人数バンド萌え」対象に当てはまる。さほど大人数でなくても、バービーボーイズみたいに「ヴォーカリストが複数いる」というバンドが好きなのだ。

 多人数でなくても、ビートルズやクイーンのように「全員が作詞作曲をしている」のが、私の理想のバンドである。要するに、私はいわゆる「ワンマンバンド」は好きではないのだ。だからこそ、私は椎名林檎氏が東京事変の他のメンバーたちを尊重しているのに対して好感を抱く。


【獅子舞 - Sexy】

 あのKUWATA BANDの名曲「スキップ・ビート」並みに「スケベ」という単語を使いまくる、極めてエロティックな楽曲(私は英語が分からないので、この日本語詞と原曲の歌詞との関連性は知らない)。私がこのバンドの存在を知ったのは多分、FMステーションではないFM雑誌もしくは音楽雑誌に掲載されていた広告からだったが、それはこれ見よがし(失敬)に「危険な」雰囲気をかもし出していた。

 元ヴォーカリストの浜田幸子さんは現在「友里倖子」名義で音楽活動を続けているらしく、検索すればいくつか記事が出てくるが、他のメンバーさんたちは消息不明で、残念ながらこのバンドの公式YouTubeチャンネルが存在しないので、私がこの曲をアップロードした。〈This Time〉の現在唯一のオリジナルメンバーさんは公式チャンネルを立ち上げているから、私があちらの往年の名曲「Sweet Cherry」をアップロードする必要はないが、そちらへのリンクは当サイト内のどこかに貼っている。