黄金の女神 ―グスタフ・クリムト『パラス・アテナ』―

  Gustav Klimt "Pallas Athene" 1898
Gustav Klimt "Pallas Athene" 1898

 私は2009年7月末に、札幌の芸術の森美術館に行ってきた。ここでは「ウィーン世紀末展」を開催していたが、一番の目玉であり、お目当てなのがグスタフ・クリムトの『パラス・アテナ』だった。 

 私は本に載っている写真から、この絵がタダモノじゃないのを感じていた。ギリシャ神話のアテナとは、清廉潔白なイメージを売り物にしていた処女神である。しかし、クリムトが描いたアテナはあまりにも「宿命の女 ファム・ファタール 」イメージが強過ぎる。ハッキリ言って、別の女神様のようだ。

 そんなド迫力満点の女神様を拝むべく、私は芸術の森美術館に行ってきた。


 あの日はあまりにもクソ暑かった。しかし、アテナは氷のように冷徹だった。このド迫力、一般的な女神アテナのイメージよりもむしろ、バビロニアのイシュタル女神のイメージに近い。まあ、「処女神だけど大人の女」という微妙な立場の設定の女神様だからこそ、このような危うい妖艶な美女に描かれたのだろうか?  鎧が金貨の塊になっているのは、知恵が富を産む、日本の弁才天が「弁財天」とも表記されるようなものだからなのだろうか? そういえば、アメリカが資本主義大国にして軍事大国になったのは、まさしく世界中から優れた人材を集めたからに他ならないだろう。 

 アテナの手には勝利の女神ニケが乗っているが、私は実物を見て初めてその足元に青い炎(もしくはオーラ?)が描かれているのに気づいた。それまでは、この絵が載っている本を読んでも気にも止めなかったけど、実際に見なきゃ分からんものはあるんだね。


 さて、私は展示品を一通り見終わってからバスに乗って帰ろうとしたが、その日は北海道にあるまじき猛暑で、私は危うく熱中症で行き倒れになりそうだった。水分補給として自販機でジュースを買って飲み、バスの到着がそんなに遅くなかったので、私は無事に家に帰る事が出来た。やれやれ。

【Tiesto - Athena】

  曲名を見ただけでの選曲だけど、あたしゃ、このアーティストについて全く知らんのね。