桜は東へ西へ

 家光「あんこはこしあんじゃ。分かったか?」

 吉宗「いいえ、つぶあんです」 


 あら、よしながふみ氏の傑作漫画『大奥』の家光公と吉宗公が何だかんだ議論をしているね。ちなみに、あのアンパンマンのあんこはこしあんではなくつぶあんだそうだが、それは「つぶあんの表面のデコボコは脳みその表面に似ている」「豆が一粒一粒形を保っているのが人間の多様性を表している」という意味を込めた設定らしい。 

 多様性といえば、王欣太氏の漫画『達人伝』は、秦が画一性の象徴で、主人公ら反秦勢力が多様性の象徴なのだが、ふと思った。『達人伝』の信陵君は、亡くなってから一体どうなったのだろうか?  ひょっとして、『シュトヘル』の「居酒屋あの世」で『ファイブスター物語』のカイエンやヤーボと一緒に酒を飲んでいるのだろうか? というか、そもそもあの「居酒屋あの世」は、他作品の登場人物も客として受け入れるのか? よしながふみ氏の『大奥』の皆様もお客様なのか? 楽しそうだぞ。家光公と吉宗公がこしあん派VSつぶあん派の議論をしていたりして。 

 もしそうなら、あの店一軒だけでは全く足りない。いくつもの支店が必要だ。いや、単なる「居酒屋」程度の規模では全然足りない。ズバリ、サッポロビール園やアサヒビール園みたいなビアホールが必要だ。 

 まあ、あの屈原がアメリカの禁酒運動家キャリー・ネイションを連れて店を潰した…なんて凄い展開もあり得るが(笑)。仮にお店が無事でも、『蒼天航路』の曹操が経営する「ビアホールあの世」で、『ゴールデンカムイ』の変態さんたちのオークション…もとい、オーディションが行われそうだな。何てイベントだよ(笑)。『達人伝』の孟嘗君が喜んでドンドン競り落とし…じゃなくて、スカウトしそうだな。 


 閑話休題 それはさておき


 北海道の桜餅は、だいたい関西風の道明寺である。なして? 私は以前、ヤフー知恵袋で質問をした。ちなみに、この質問でのアカウントは、以前使っていた退会済みのものであり、現在の「明智紫苑」名義アカウントは二代目である。今の知恵袋のシステムでは、自分自身のアカウント以外の質問履歴や回答履歴は見られないのだが、この初代アカウントも退会済みなので、赤の他人のアカウントと同じく、質問履歴や回答履歴は見られなくなった(少しでもユーザー間のトラブルを減らすためだろう)。

 問題の質問の回答者さんによると、北前船のおかげで関西の菓子職人の北海道上陸が早かったので、関西風の道明寺が主流となって根付いたという。そう、ちょっとしたタイミングの問題なのだ(斉の桓公が無事に君主になれたのと似たようなものね)。私はそれまで、関東風のクレープみたいな形状の桜餅を食べた事がなかった。

 それで、私は数年前に札幌市内で関東風の桜餅を扱うお店があるか検索し、その店を見つけた。ちなみにそのお店は、地下鉄東西線の駅から行くならば、円山公園駅よりも西18丁目駅に近い場所なので、ご注意ください。目印(?)として、近くにセブンイレブンやセイコーマートがある。

 家に戻り、おやつの時間を迎える。そして、開封。隣の飲み物は、綾鷹。撮影セットも桜満開(ただし、北海道の花見シーズンは5月である)。この撮影セットは、我ながら一番お気に入りである。

 拡大。白の関東風(真ん中)がつぶあんで、赤の関東風(一番上)がこしあんだ。あんこの甘さが控えめで上品な味だ。関東風のモッチリした生地もおいしいが、私はやはり、食べ慣れている関西風の桜餅の方が好きだね(ちなみに関西風、すなわち道明寺のあんこはこしあんだった)。 

 桜餅にはご覧の通り、桜の葉っぱの塩漬けが巻かれているが、これを食べる人もいれば、食べない人もいる。私は桜餅の葉っぱは食べるが、さすがに柏餅の葉っぱまでは食べられない(そもそも、柏餅の葉っぱをわざわざ食べる人はそうそういないだろうが。腹を壊すわ)。

 札幌市中央区南2条西20丁目2-20

【宇多田ヒカル - SAKURAドロップス】

 いわゆる「桜ソング」は色々とあるけど、これは神秘的な響きが良い。