Women & Girls 1

No.2/f.1 アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune "Lady Astarte Second")

『Avaloncity Stories』のメインヒロイン1号。第一部から第三部まで登場する、この物語群の「女神」である。「創造し、維持し、破壊する女神」の名を持つ彼女こそが、この物語全体の「中心」である。 

 ちなみに彼女のフルネームには、全編通してミドルネームはない。


 ①「初代」アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)…ドルイド・マーリン(アーサー王とモーガン姫の大叔父)と〈海の娘〉との間に生まれた娘。初代フォースタス・チャオと一体化して、不老不死を得る。「聖杯の乙女」。第一部終盤までフォースタスの妻である。

 ②「二代目」アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)…シンガーソングライター。フォースタス・チャオの婚約者。空色の目にプラチナブロンドの髪の美女。実は研究機関〈アガルタ〉で生まれた人造人間〈バール(baal、北欧系女性型)〉。フォースタスより5歳若い(アヴァロン連邦暦330年生まれ)。350年の時点で、アヴァロン大学文学部英文学科に在籍している。

 ③「三代目」アスターティ・フォーチュン(Astarte Fortune)…天空都市〈ヒメルシュタット〉で生まれたバール(二代目アスターティのクローン)。果心居士と松永緋奈と共に地上に降りる。アヴァロン帝国宰相オースリン・フォーチュンの養女であり、未来の「聖杯の騎士」である。


 7月7日生まれ。ドール化での年齢設定は『ファウストの聖杯』終盤の時点である20歳。身長168cmで、脚の長さは股下90cm程度。スリーサイズはだいたい『ウマ娘』のゴールドシップ(B88・W55・H88)と互角。髪色はプラチナブロンド、目の色はセレストブルー(空色)。好物はたこ焼き、 西紅柿炒鶏蛋 シーホンシーチャオジーダン (卵とトマトの炒め物)、レアチーズケーキ、抹茶アイスクリーム。とにかく、抹茶スイーツが好きなのだ。

 賢明で誠実、思いやりと人望がある。「気が強い」というよりも「意志が強い」と言った方が良い「大人」。シリーズ全編通して、初恋の人フォースタス一筋。責任感が強く真面目。白い百合の花と五芒星が彼女のシンボルである。

 趣味は写真撮影。下戸で嫌煙家。さらに、高所恐怖症気味でもあり、プロモーションビデオの撮影では苦労している。料理は得意だが、フォースタスほどではない。ネズミが苦手。爪は丸く短く整えているが、短い爪なりにネイルアートを楽しむ事がある。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとボークスビューティーBボディのカスタム。膝から下をNEO-EBと交換しているので、膝の二重関節の分、脚が長くなっている。これでアスターティの身長と脚の長さを表現出来た。

『Avaloncity Stories』は、第一部ではフォースタス・チャオが中心人物だが、第二部でフォースタスとアスターティが同列に並ぶ。そして、第三部ではアスターティこそが物語の中心となる。〈FORTUNA IMPERATRIX MUNDI〉、すなわち「運命の女神、世界の支配者」とは彼女の尊称である。


No.4/f.2 コヨルシャウキ/ゴールディ・ベル(Coyolxauhqui / Goldie Bell)

①『Avaloncity Stories』第二部のアスターティ・フォーチュンの親友。アスターティより2歳(アスタロスより4歳)年上。アヴァロン連邦政府の研究機関〈アガルタ〉で生まれた女性型バール(人造人間)。人工子宮〈コートリキュー(Coatlicue)〉から生まれた(トラロックの妹で、ショチピリ、ショチケツァルの姉)。アヴァロン連邦陸軍の将校(少尉)。

 アスタロスと共にソーニア州のアヴァロン連邦独立による内乱に巻き込まれて行方不明となる。アスタロスは密かに彼女に思いを寄せていたが、彼女がそれに気づいていたかは不明。そもそも彼女は(ネミのような無性愛者ではないにしても)恋愛にはさほど興味はないようだ。彼女の中性的な雰囲気は容姿だけのせいではないのだ。

②謎の女性魔法戦士。東方の島国蓬莱 ホウライ で賞金稼ぎをしている。彼女はこの時代におけるアスターティ・フォーチュンと出会うが、このアスターティが第二部のアスターティの生まれ変わりだと知る。


 1月11日生まれ。身長172cm。好物はタコライス、ミネストローネ、ティーボーンステーキ、ドンドゥルマ(トルコ風アイスクリーム)。得意科目は体育、音楽、地理など。決して成績は悪くない。学校のクラスメイトたちからも人気が高かったが、教師や「お局」学級委員に対しても媚びない辺りが好かれていたようだ。

 彼女の意外な趣味として、ハンドメイドがある。彼女は『Fortune』でアスターティの誕生日プレゼントとして、押し花を樹脂加工したアクセサリーを作っていた。第三部のゴールディも手先が器用であり、副業としてアクセサリーを作って売って暮らしている。副業というよりは、本業を隠すための表向きの商売である。要するに、江戸時代の浪人みたいな感じだ。

 第二部のゴールディは、バールとしての身体能力を軍人の仕事に活かすが、それは第三部でも変わらない。バールたちは女性型も並みの天然の人間男性をはるかに上回る筋力やその他身体能力を持っているので、一般的なプロスポーツには参戦出来ない。その代わり、バールのみの格闘技(要するに『キン肉マン』の超人プロレスのようなもの)や、『ウマ娘』のようなバール専門徒競走などのスポーツはある。そんな超人そのものの彼らを敵視する天然の人間たちは少なくない。同じ事は、第三部の魔法戦士たちにも言える。ある意味、現実世界以上に「強い者いじめ」があるのだ。


 人形はボークスビューティーAボディの膝から下をNEO-EBと交換したカスタムボディにNEOヘッドを付けたもの。「男装の麗人」「女子校の王子様」的なイメージで作ったキャラクターなので、アスターティとの組み合わせはちょっと百合っぽいかもしれない(アスターティとヒルダ、並びに第三部のアスターティと清香の関係にも同じ事が言えるが)。

 ブロンドの髪と緑の目はランス・ファルケンバーグの女性版のようだが、アスターティとゴールディの親友としての関係性は、フォースタスとランスの関係に似ているだろう。彼女のバールとしての名前〈コヨルシャウキ〉はアステカの女神の名前であり、「黄金の鈴」を意味する。それゆえに、彼女の人間名は「Goldie Bell」なのだ。


No.5/f.3 蓮華院清香(Sayaka Rengein)

『Avaloncity Stories』第三部の登場人物。3代目アスターティ・フォーチュンの同い年の親友。アルビノの可憐な美少女。東方の島国蓬莱 ホウライの名門蓮華院家の魔法戦士蓮華院清隆 れんげいん きよたかの一人娘。アヴァロン帝国の女性宰相オースリン・フォーチュンの養女になったアスターティを追ってアヴァロンに渡り、アヴァロン大学に入学する。

 病弱で非力な身体だが、魔力が優れている。実は彼女は、第二部のフォースティン・ゲイナーの生まれ変わりかもしれない。清香もフォースティンのように温和な人柄だ。第一部『恋愛栽培』の主役カップル花川加奈子と蓮華院秀虎の遠い子孫の一人であるが、第二部のアヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンの子孫でもある。もしかすると、第二部のフォースタスとアスターティの血も引いているのかもしれない。

 物心がつく前に母を亡くし、父はしばしば旅に出ており、アスターティと共に泰夏 タイシャの趙蘭(ランスロット・ファルケンバーグ)将軍の家で養育されていたので、家族愛に飢えているが、表向きには明るく健気に振る舞っている。彼女はアスターティと同い年だが、どちらかというと清香の方が妹分のようだ。ただし、いわゆる「妹キャラ」的なあざとさはない。


 11月9日生まれ。身長158cm。好物は水ようかん、そばがき、鮎の塩焼き。彼女の生きる時代からして、こんなもんだろう(フォースタスやアスターティらのプロフィールにある好物は、第二部を基準にしたものである)。少食である。美少女ではあっても、赤目白髪のアルビノの容姿ゆえに、奇妙な目で見られる事が少なくない。それゆえ、外出時には肌の露出が少ない格好でフードをかぶる事が多い(日光から身を守るためでもある)。

 魔法戦士としての彼女のマスコット(使い魔)は、小さな白い狐である。その狐の名前は〈凛華 りんか〉という。奇しくも、『恋愛栽培』に登場した「悪役ギャル」浜凛華 はま りんかと同名だが、当然両者は無関係である。狐の凛華はその身体の小ささからして、かつての地球の日本で言う「管狐 くだぎつね」のような存在だろう。  清香は幼い頃から精霊たちが見えており、会話をしていた。無論、アスターティも同様だったが、彼女たちは精霊たちの加護を受けている。狐の凛華は、清香が幼い頃からの付き合いである。


 人形はボークスCヘッドとオビツ27cmノーマルボディを使用。実はこのヘッドは二代目で、初代ヘッドは父・清隆の人形に用いる事にした。この父親は秘宝を巡って世界中を駆け回るが、詳細は不明である。一説によると、〈聖なる星〉地球から伝わる〈聖杯〉が関係しているようだ。

 第三部の惑星アヴァロンはいわゆる「剣と魔法」の世界だが、第二部時代のテクノロジーも一部で保たれている。その一つが超巨大宇宙移民船アヴァロン号の後身である空中都市〈ヒメルシュタット〉である。ここに〈聖杯〉なるものがあると言われているが、真相は不明だ。第三部のアスターティは、果心と緋奈によってヒメルシュタットから地上に連れ出された。

 もしかすると、清香の母親もまた、アスターティと同じく「天界の者」だったのかもしれない。彼女の遺品の首飾りは、それを知る手がかりであろう。清香はそのお守りを通じて亡き母に語りかける。アイヴァン・レイ・シャホウの子孫率いる空賊もしくは航空傭兵団である〈ステイゴールド血盟軍〉は彼女を助けるが、それは彼女の父・清隆との盟約があるからだ。


No.6/f.4 ヒルダ・マーズ(Hilda Mars)

①『Avaloncity Stories』第二部のヒルダ・マーズ(Hilda Mars)…ギタリスト志望の少女。10歳(アヴァロン連邦暦334年生まれ)。アスターティに憧れて「押しかけ弟子」となる。燃えるような赤毛。近所に住んでいる女性からギターの弾き方を教わったが、その女性はエドワード・ヴァン・ヘイレンの子孫を自称していたらしい。当然、真偽の程は不明。

 ②『Avaloncity Stories』第三部のヒルダ・マーズ(Hilda Mars)…アスターティを慕って共に旅する魔法戦士。猿をマスコット(使い魔)にしている「モンキーガール」。小柄にも関わらず大剣使い。


 12月10日生まれ。すなわち、私、明智紫苑並びに花川加奈子と同じ誕生日である。ただし、身長は紫苑より少し高い155cm。気性が激しく、頑固で一途な性格。実は第一部のブライトムーン(ブライティ)の生まれ変わり。アスターティに対する尊敬の念は、孔子の愛弟子子路や円卓の騎士ガーウェインを連想させるだろう。好物はチーズバーガー、カリフォルニアロール、ジャンバラヤ、クラムチャウダースープ、フローズンヨーグルト。

 第二部のヒルダは生涯独身だが、アスターティの仕事仲間として充実した人生を送ったようだ。アガルタから〈ソロモン・プロジェクト〉への協力を打診されたが、かつての自身の家族との確執ゆえに断ったようだ。その代わり、フォースタスとアスターティの子供たちを自身の甥や姪のようにかわいがっていた。特に子供自体が嫌いなのでなく、自身のトラウマが自分の子供に悪影響を及ぼすのを恐れて、結婚や子育てを避けていたのだろう。


 人形はアスターティと同じオビツ27cm女性用02ヘッドとボークス25cm(ミディB)ボディを組み合わせている。ヘッドは頬を削っており、よりシャープな顔立ちになっている。信じられないようだが、この髪の毛はウィッグではなく植毛(極細毛糸使用)である。素人がサラン樹脂のドールヘアでアフロヘアを作るのは難しいが、極細毛糸を植えて刈り込むと、ご覧の通りの「なんちゃってアフロ」にするのは可能である。

 その美少女というよりはむしろ美少年に近い容姿ゆえに、ファッションドールとしての汎用性は低い。まあ、あくまでも「キャラクタードール」だからねぇ。


No.8/f.5 ショチケツァル/ロージー・マニャール(17歳版)(Xochiquetzal / Rosie Magnard)

 ショチケツァル、愛称並びに人間名はロージー。『Avaloncity Stories』第二部の登場人物である。トラロックやコヨルシャウキと同じく〈アガルタ〉の人工子宮〈コアトリクエ(Coatlicue、英語風の発音では「コートリキュー」)〉から生まれた女性型バールであり、ショチピリ(ロジエ)の双子の妹である。ピンクの髪の毛に紫色の目は民間のバールメーカーの商品のようだが、れっきとした「官製バール」である。彼女とショチピリがなぜこのような容姿なのかは不明。それを言うなら、彼女らの兄トラロックも同じだが。

 ロジエ共々、アスターティを慕う。彼らも〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉の一員となるので、第三部に彼らの子孫が出てくる可能性は高い。ただ、さすがに女性としての生殖能力の限界があるので、ロージー自身が生む子はせいぜい5人くらいだろう(まあ、普通の人間ならば充分子沢山だが)。

〈ソロモン・プロジェクト〉は人間の生物としての多様性を保つためのものなので、ロージーは特定のパートナーを持たないかもしれない。そうすると、アスターティとフォースタス・チャオの結婚は、むしろ例外的な事態かもしれない。後の第三部における魔法戦士たちも、一般人よりはポリアモリー的な異性愛が暗黙の了解で認められるが、それゆえに一般人たちに嫉妬される面もあるだろう。


 4月28日生まれ。身長165cm。『ファウストの聖杯』終盤の時点で17歳である。好物はチョコレートパフェ、マンゴー果肉のシェーファーピン(台湾かき氷)、マルゲリータピッツァ。兄ショチピリと同じく、成人後は軍人ではなくアガルタの職員になる。彼ら官製バールたちは世に出るために、「人間」としての名前も持つが、おそらくはあの『ウマ娘』も同様だろう。普通の人間という設定のキャラクターでも、『ゴールデンカムイ』のヒロインであるアイヌ女性アシㇼパだって、戸籍上の「和名」を持っているのだ。

 見るからにかわいい女の子だが、彼女がどういう人物なのかは、作者の私も分からない。アスターティの話『Fortune』に兄と共にちょっと出てきただけだが、現時点ではどういうキャラクターなのかは分からない。兄共々温和な雰囲気だが、そういうキャラクターこそが要注意…かもしれない。

 この子を作った当初は『ファイブスター物語』のエストのようなキャラクターを想定していたのかもしれないが、今となっては全く別の方向性である。それに、仮にFSSのエストのような謎めいた重要性を持つキャラクターを『Avaloncity Stories』の一員として出すとすれば、そのキャラクターはバールではないだろう。例えば、第一部におけるほぼ主役である「彼ら」のように。「彼ら」は「彼」の仮の姿であり、別人格でもあるが、それぞれ自身の意思を持って生きている。


 このショチケツァル人形17歳版は、オビツ27cm女性用02ヘッドとノーマルボディを組み合わせている。髪は未植毛ヘッドに自分で植毛したのだが、ドールヘアの量がちょっと多過ぎたので、前髪が盛り上がっている(ジェラルディン・ゲイナーも同じだ)。この子は、もっと自然な髪色と目の色だったら、着せ替え人形としての汎用性がある程度高かったかもしれないが、今さら文句を言っても遅い。

 まあ、ある程度「色物」要素を持つキャラクターでないと創作意欲が湧かないというのもある。私はそれぞれのキャラクターとしての「個性」を大切にしたいので、画一的な人形作りはしたくない。もちろん、それは小説の登場人物たち全般にも言える事だ。

 このショチケツァル(ロージー・マニャール)というキャラクターには、別年齢の人形があるというのが異例だ。ただし、私が彼女「たち」を製作したのは、私が小説を書く以前の時期であり、彼女らが小説に登場するようになったのは、いわば「後付け」である。私はインターネットを、そしてカメラ機能もあるスマートフォンを使えるようになったからこそ、自らの物語としての『Avaloncity Stories』を作れるようになったのだ。文明の利器ってありがたいね。


No.9/f.6 ショチケツァル/ロージー・マニャール(10歳版)(Xochiquetzal / Rosie Magnard)

 この女の子は、『Avaloncity Stories』第二部のアヴァロン連邦政府の研究機関〈アガルタ〉の人工子宮〈コアトリクエ/コートリキュー〉から生まれた女性型バール(人造人間)ショチケツァル(愛称はロージー)の10歳ヴァージョンである。同一人物を別の人形として立体化したが、年齢別ヴァージョンの人形が複数体あるのは、現時点では彼女だけである。

 ドール写真撮影は、成人体型ばかりではつまらないので、リカちゃんサイズやもっとちっちゃい子のお人形たちも用意したいのだ。もちろん、小説の登場人物としての需要もある。しかし、まずは物語の世界観あってこそなのだが、私はウェブ小説を書く前は、ドールカスタマイズと物語との整合性を意識していなかった(フォースタスやアスターティなどの主要キャラクターは別だが)。


 17歳のロージーと同一人物なので、当然同じ4月28日生まれ。好物は17歳ヴァージョンと同じなので省略する。官製バールたちは基本的に、アガルタ特別区にある学校に通っている。〈ソロモン・プロジェクト〉以降は、バールたちの一般人社会への溶け込みによって、アガルタ以外の地域に進学や就職をするのは珍しくなくなる(すでに、警察官や軍人などがいるが)。

 ちなみにロージーの子供の頃の夢はファッションモデルだったが、実際にファッションモデルになったバールとして、「ネミ」ことネミッサ・ハラウェイ・フォーチュンと「ロクシー」ことロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンドがいる。実は、モデル界や芸能界には、アスターティや彼女たち以外にもバールたちが進出しているが、彼らの素性は表向きには明らかにされない。

 私は人形の誕生日は①人形が完成した日②人形に命名した日③小説での設定でのいずれかに基づいて決めているが、この子の誕生日は17歳ヴァージョンが完成した日に決めた。ロージー&ロジエの名前はピンク系(すなわちバラ色)の髪色に由来するが、同じマニャールという苗字の人物が第三部にいる。その人物が、ロージーかロジエのいずれかの子孫かどうかは不明。そもそも、この兄妹の苗字自体が、そのキャラクターにちなんだ後付けなのだが。

 彼ら官製バールたちは(軍人や警察官などの社会人になるためにも)バールとしての名前と人間としての名前を合わせ持つ。アスターティ・フォーチュンはどちらにしても「アスターティ」なのだが、彼女の名前はフォースタス・マツナガ博士の初恋の人ヒナ・アスターティ・マツナガのミドルネーム、並びにアヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンの妻エスター・ナナ・フォーチュンのバールとしての名前に由来する。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドを強引に削り込んでから植毛・ペイントしたが、今一つ「子供」としてのかわいらしさに欠ける。ヘッド選びは重要なのね。あるドールカスタマイザーさんは「ヘッド選びでドールカスタマイズの大半が決まる」と言っていたし、雛人形のCMでも「人形は顔が命」とも言っていたのだから、やはり重要な事には変わりない。

 ボディはボークスのエクセレントミニ素体を使用。17歳ヴァージョンよりもさらに着せ替え人形としての汎用性が低いのは言うまでもない。服自体は、リカちゃんやブライス用のサイズのものを着せれば良いが、ピンク色の髪の毛という時点で、着せ替え人形としての汎用性が低いのは言うまでもない。

 そう、ピンク色の髪の子を作りたいと思って彼女たちを作ったが、やはり、自然な髪色の人形の方が着せ替え人形として扱いやすい。しかし、やはりピンクなどの変わった髪色のお人形の方が作り甲斐があるのね。服のコーディネートだって、いわゆる原宿系ファッションみたいに非日常的なものの方が着せ替え甲斐がある。


No.10/f.7 リリス/ロクサーヌ・シルヴァー・ダイアモンド(Lilith / Roxanne Silver Diamond)

『Avaloncity Stories』第二部に登場するファッションモデルにして人気歌手であるロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンド(ロクシー)の付き人であり、同居人である女性。愛称は「シルヴァー」。実はロクシーの歌は口パクで、実際には彼女が歌っている…と噂されているが、実はロクシーは何者かにマインドコントロールされていて、記憶を捏造されている。そのロクシーのお目付け役が彼女、シルヴァーこと「リリス」である。

 実はシルヴァー自身がマフィア〈聖杯幇 シェンペイパン〉の企業舎弟であるバールメーカー〈リリス・グレイル〉社に作られた人造人間「バール」である。アスターティが最初に彼女を見かけた時には「そこら辺の大学生」風に見えたが、歳を重ねるにつれてだんだんと妖艶な魅力を放つようになった。自分を作ったバールメーカーの名を持つ彼女がなぜ〈ジ・オ〉並びに〈神の塔〉との関わりが根強いロクシーに付き従うのか? 〈聖杯幇〉のトップである夏侯雷 シャホウ・レイことアイヴァン・レイ・シャホウは、なぜ不穏分子めいた存在である彼女を放っておくのか? そもそも、本当に〈ジ・オ〉と〈聖杯幇〉は敵対関係なのだろうか?

 ソーニアの政変(アヴァロン連邦からの独立宣言)後、彼女は中央政府から派遣された交渉人 ネゴシエイターたちや陸軍からの刺客たちと関わる。果たして、彼女はロクシーを守るのか? それとも…?


 身長166cm。7月13日生まれ。好物はエビとムール貝のパエリア、タラモサラタ、ムサカ、ストラパッツァーダ、馬拉糕 マーラーカオ(中華風蒸しカステラ)。とりあえず、地中海系の料理が好きなようだし、彼女自身もロクシーのために色々と料理を作って食べさせてあげる。ロクシー自身は料理を含めた家事全般が苦手である。シルヴァーの他に、ロクシーの所属事務所に雇われた家政婦が、ロクシーとシルヴァーが住むマンションに出入りしている。

 シルヴァーは、親友(?)ロクシーが唯一信頼する同性だが、彼女が何を考えているのかは、誰も知らない。さすがに、彼女たちの間には本物の友情があるとは思いたいが、彼女たちがどのような運命を歩むかで、関係性は変わっていくだろう。ロクシーやソーニア州知事プレスター・ジョン・ホリデイは、同性からの嫉妬心や反感を買いやすい人物として、物語内部で想定されるキャラクターたちである。つまりは「強者」のイメージだ。

 ただ、ロクシーもホリデイも「強者の皮をかぶった弱者」のような要素がある。自分自身の虚栄心がはかなさを帯びているのを、彼らは無意識のうちに自覚しているのだ。


 人形はボークス「センチュリーモデル」の「イーディス」のカスタム。元の人形は銀色の短髪だったが、黒っぽい髪色に再植毛して、グラマラスな美女のイメージに作り上げた。金色ベースの化粧が褐色の肌に映える。名前こそは「シルヴァー」だが、彼女自身のイメージカラーはむしろ黄金だろう。

 本来、リリスとシルヴァーは別々のキャラクターとして作っていたつもりだったが、わざわざ新たにシルヴァーの人形を作るのが面倒だったので、二人を同一人物にした。アスターティが「白い女神」なのに対して「黒い女神」として作ったつもりだが、結局は第二部においては、彼女たちの物語上の接点はほとんどなかった。

 彼女の髪や目の色は現実的な配色なので、ファッションドールとしての汎用性は低くないと思う。ただし、パステルカラーを使ったロリータファッションは似合わないだろう。セクシーな大人の女性らしいコーディネートがふさわしい。


No.11/f.8 ルシール・ランスロット(Lucille Lara Lancelot)

 『Avaloncity Stories』第二部のフォースティン・ゲイナーの幼なじみ。アスターティとも親しい。校内の軽音楽部でロックバンド〈アヴァロンシティ・ドールズ(Avaloncity Dolls)〉のリーダー(ヴォーカルとギター)として活動している。日系8世の強気なオテンバ。アヴァロン連邦暦331年生まれ(アスターティより一学年下)。

 実家はラーメン屋。後に〈アヴァロンシティ・ドールズ〉としてプロデビューするが、大震災で亡くなってしまう。フォースティンは一番の親友を亡くしたが、そんな彼女の一番の支えになったのが、劇団〈シャーウッド・フォレスト〉の主宰であり、フォースタス・チャオの友人であるスコット・ガルヴァーニだった。生前のルシールは、そんな彼を自分の親友の恋人にふさわしい、信頼に値する人物だと認めていた。

 ルシール自身には、一応は彼氏がいた時期があったようだが、特別恋愛を重視するタイプではない。彼女はいわゆる「恋愛体質」の同性を苦手としていた。さすがに、フォースティンやアスターティと会話する際には、その手の同性の悪口を言うのは避けていたが、『Fortune』にもあるように、ソーニア州知事プレスター・ジョン・ホリデイを嫌っていた。ホリデイ個人だけでなく、ホリデイのような政治家を支持する層を嫌っていたのもある。


 7月12日生まれ。身長160cm。好物は塩ラーメン、カニチャーハン、ストラパッツァーダ(ギリシャ料理の卵とトマトの炒め物)、練乳いちごパフェ。イニシャルが見事に「L.L.L.」なのは、案の定『ファイブスター物語』に元ネタがある。すなわち、イメージアルバムに収録されている楽曲の一つのタイトルだが、川村万梨阿さんのハイトーンボイスが「ファルセットではない」というのは驚きである。さすがは我が師匠の奥方様である。

 とりあえず、ヴォーカリストとしてのルシールは万梨阿さんには似ていない。しかし、現時点では「実在の歌手に例えるならこの人」というイメージはない。そもそも我がヒロイン、アスターティの歌声自体が現時点では実在の歌手に例えるのが難しい。宇多田ヒカルなのか、BONNIE PINKなのか、それともエヴァネッセンスのエイミー・リーなのか、さっぱり分からない。確実に言えるのは、アスターティの歌声は椎名林檎には似ていないし、倖田來未にも似ていない。

 アスターティの歌声は、クリアさと力強さと安定感を持っている。それだけが決まっている。 〈アヴァロンシティ・ドールズ〉はいわゆるパンクロックのバンドである。この時代においては、パンクロックも含めたロックミュージックは「伝統芸能」となっているが、この「地球人文化」の守り手として、各ジャンルのミュージシャンたちはある程度社会的地位を得ている。さらには、地球から伝わる「文化」全般が「地球遺産」として保護されている。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとノーマルボディ使用。赤毛は元々ヘッドに植毛されていたものである。この子は元々親友フォースティンと対になるキャラクターとして作ったのだが、当時はアスターティとの接点はなかった。その頃はあくまでも「オリジナルキャラクターを作る事」そのものが目的であり、彼女たちを小説に登場させるようになったのは、いわば後付けである。

 ただ、私は改めてこの子の容姿を見て気づいた。もしかすると、私は無意識のうちに『重戦機エルガイム』のファンネリア・アムとガウ・ハ・レッシィを足して2で割った容姿として、この子を作ってしまったのかもしれない。顔立ちは彼女たちよりも東アジア系寄りなんだけどね。だからこそ、『Avaloncity Stories』におけるこの子は「日本人の子孫」なのである。

 ちなみにアスターティ・フォーチュン並びに弟アスタロスの容姿は、北欧系白人のイメージとして作っている。まあ、実際の北欧系白人と比べると、やや童顔気味かもしれない。

 私は『ファウストの聖杯』並びにその姉妹編『Fortune』を書き直す際、改訂前に大震災で死亡した登場人物の何人かを救うように変更しようかと思ったが、あえて改訂前のままにした。その代わり、第三部に彼らの生まれ変わりかもしれない人物たちが登場するかもしれない。


No.12/f.9 サーシャ・スチュワート(Alexandra Ingrid "Sasha" Stewart)

 愛称はサーシャ。『Avaloncity Stories』第二部に登場するアスターティ・フォーチュンのバックバンド〈エトラッツァ〉のドラマー(「Etratsa」は「Astarte」のアナグラム)。サバサバした姉御肌。アヴァロン連邦暦345年の時点で20歳(すなわち、『ファウストの聖杯』終盤の時点で25歳)。ドラマーとしての実力は、20〜21世紀の地球人ドラマーに例えるなら、カーマイン・アピス氏クラス…と例える(称える)音楽好きの歴史学者がいたりする。要するに、かなりの凄腕だ。

 見かけ通り、サバサバした姉御肌の女性である。むしろ、当シリーズでは「弱い女」の方がマイノリティーかもしれない(その辺、リアリティーに欠けるだろうが)。『恋愛栽培』の主人公である「普通の女の子」花川加奈子でさえも、それなりに芯が強いのね。

 後述の通り、彼女は私のオリジナルキャラクター「ドール」としては「古参」である。さすがに、『Avaloncity Stories』においては、アスターティやフォースタス・チャオと比べると「新参」のキャラクターではあるが、私が作ったキャラクタードールとしては最古参である。ただし、後に顔の再塗装を全面的に行ったので、再製作順(再塗装順)として割り振られた番号は現在の順番になっている。それゆえに、私の「Avaloncity Dolls」としては12番目の彼女は「幻のNo.1」でもある。

 しかし、サーシャは私の物語の登場人物としては「古参」ではない。なぜなら、かつての私はキャラクタードール作りを自作小説に結びつけていなかったからである。私は小説執筆を創作活動の基本とするようになってからは、小説の登場人物としてキャラクタードールを作るようになったのである。


 9月12日生まれ。身長165cm。好物は豚骨ラーメン、シーフードガンボ、本物のカニ肉が入ったカリフォルニアロール、シュウマイ弁当、ザッハトルテ。なぜか年下のダメ男にモテる。この人も『Fortune』で描かれている通り、大震災で鬼籍に入ってしまったので、あとはスピンオフ小説で過去の話を書くしかない。そもそも、この物語での大震災で亡くなった人たちならば、誰でも主役になり得るのだ。

「女性ドラマーってかっこいいな」、そう思った時点で彼女のポジションは決まった。しかし、仮に第二部のアスターティをミュージシャンに設定しなければ、二人の接点はなかったかもしれない。それまで作ったキャラクターたちを、いかにして小説の世界観に組み込めるかどうかが問題だ。


 ボークスCヘッドとエクセレントB素体の「旧肌色」使用。現在では入手困難だが、私はこの赤味の強い肌色を見て「日本人キャラクターを造るには向いていないな」と思った。逆に言えば、仮にヘッドとボディが現在の「新肌色」だったら、彼女は日本人キャラクターになっていたのかもしれないのだ。下手すりゃ、その幻のキャラクターが、アスターティの代わりに私の物語のメインヒロインになっていた可能性がある。

 私はこの素体やヘッドのピンク系の肌色がロシア系白人のように思えたので、彼女の愛称はロシア風の「サーシャ」になった。ただし、フルネームを決めたのは2018年になってからで、人形を作ってからだいぶ経っている。頭は元々ピンクのドールヘアが植えられていたが、追加植毛に薄紫と銀色のドールヘアを使用した。

 私が初めてオリジナルドールを作るために購入したドールヘッドと素体を使っているのが、他ならぬサーシャである。しかし、彼女が『Avaloncity Stories』のキャラクターになったのはあくまでも後付けであり、生みの親である私自身も彼女についてはよく分からない。そのうちスピンオフ小説を書くかもしれないが、もちろん予定は未定である。

 私がサーシャの材料としたドールヘッドと素体は、かつて札幌市内にあった某ホビーショップである。その店はボークスやアゾンなどのメーカーのドール・アクションフィギュア関係の商品を扱っていたが、後にその方面の部門を切り捨てて、ラジコン関係専門店として別の場所に移転し、閉店してしまった。そのお店がドール・アクションフィギュア関係の商品を扱うのをやめた時期は、まさしく1/6ドール文化の人気が衰えかけている時期だった。

 私は1/6ドール文化の復興を心から望む。幸い、今はモモコドールや六分の一男子図鑑などがあるし、オビツやボークスなどの新しい1/6ドール素体の登場に対して期待している。


No.13/f.10 ジェラルディン・ゲイナー(Geraldine Rose "Jerrie" Gaynor)

 愛称はジェリー。『Avaloncity Stories』第二部に登場する女性内科医。アヴァロン大学医学部卒業。両親から受け継いだクリニックの院長となる。ゲイナー三姉妹の長女。アヴァロン連邦暦318年生まれ。アガルタのフォースタス・マツナガ博士と恋仲になるが、マツナガ博士は彼女の両親の古くからの知り合いだった。無論、マツナガ博士が彼女を「女性」として意識するようになったのは、彼女が成人してからの事である。少なくとも、彼は「若さだけが取り柄の女」には興味がないし、男性に対する依存心が強い女性にも興味がない。

 ゲイナー三姉妹の父ジャスパーは元々画家志望だったが、初恋相手ロウィーナが医師を目指しているのを知り、彼女と同じ大学を目指して一緒に合格して、卒業して、医師になり、互いに惹かれ合い…そして結ばれて三姉妹が生まれたのだ。その両親は南アヴァロン市の別荘で悠々自適の暮らしを満喫している。ジャスパーとロウィーナは大震災で二人の娘たちと孫たちを亡くしたが、末娘フォースティンが無事だったのは不幸中の幸いだろう。

 フォースタス・チャオの姉ルシール(愛称はルー。フォースティンの親友ルシール・ランスロットとの区別のためにこの愛称を使う)とは大学時代からの親友。サバサバとした姐御肌の女性である。マツナガ博士との交流とは別に、アガルタにも友人知人は少なくない。ルー・チャオもアガルタの職員である。ジェラルディンもアガルタからの勧誘があったが、両親のクリニックの引き継ぎを選んだ。

 現に、アガルタ出身のバールたちも、彼女のクリニックに通院している者が少なくない。ジェラルディン自身はアガルタの職員ではないが、アガルタから外部に出向した獣医師リチャード・タヌキコウジ博士と似たような立場かもしれない。ちなみにタヌキコウジ博士も、天然の人間と人造人間「バール」を再統合する〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉のために、女性型バール(いや、「バール女性」と呼ぶべきか?)を公私共にパートナーにしている。


 5月28日生まれ。身長170cm。好物はグヤーシュ(ハンガリー料理のスープ)、エビのパエリア、ローストビーフ丼、白身魚のセビチェ(魚介類のマリネ)、バラジャムを載せたヨーグルト。元気良くモリモリ食べてキビキビと動く健康な女性である。アスターティのマネージャー、ミヨン・ヴィスコンティは幅広い交友関係のある人だが、ジェリーもミヨンの友人である。

 前述の〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉発足以前に製作されたバールであるマツナガ博士は、彼女と出会ってから「もし自分が生まれついての無精子症でなかったならば…」と考えるようになったが、それでもキチンと避妊具を使うのが彼なりの「けじめ」である。まあ、ジェラルディン自身には「母親願望」はないのだが。健全な家庭に生まれ育った人間だからといって、必ずしも「人の親になりたい」という願望を抱く訳ではない。ただし、彼女自身は決して子供嫌いではないし、姪たちをかわいがっている。

 少なくとも、マツナガ博士とジェラルディンの関係は〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉とは一切関係ないが、マツナガ博士にとっては彼女との関係こそが最後の恋だった。彼が彼女に対して、自分の初恋相手ヒナ・マツナガの面影を見出していたかは分からない。少なくとも彼は、彼女たちを比較してどちらかを貶めるような人ではない。


 人形はボークスのNEO-EBのティーンズではない方である(ヘッドもNEOヘッドである)。キャラクターに合わせてグラマラスなのね。前髪のボリュームが目立つのは、ショチケツァル17歳ヴァージョンと同じく、植毛に使ったドールヘアの配分ミスによるものだが、かえって怪我の功名でキャラクターの個性を表せたと思う。

 彼女は私のキャラクタードールとしては、比較的現実的な髪と目の色なので、着せ替え人形としての汎用性はそこそこ高いだろう。ただし、素体のサイズによって、着せられる服の限界はある。バービー用の服は着せられるが、モモコドールのような細身の素体向けの服は着せられない。

 『Fortune』ではまさかの大災害で若くして亡くなってしまった彼女だが、天国でマツナガ博士と仲良くしているだろうか? 彼女とマリリンの名前は、末妹フォースティンとスコット・ガルヴァーニの娘に受け継がれた。


No.14/f. 11 マリリン・ゲイナー(Marilyn Lily Gaynor)

『Avaloncity Stories』第二部に登場する女性ロックミュージシャン。バンド〈フローピンク・アップルズ(Fluopink Apples)〉のリーダー(ヴォーカル兼ギター)。ゲイナー三姉妹の次女(ジェラルディンの妹で、フォースティンの姉)で、二児(アリスとクラリス)の母。姉ジェリーと同じく姉御肌タイプの女性である。

 同業者の男性と結婚していたが、夫の浮気と暴力に悩まされて離婚した。クソ旦那と別れて清々したのもつかの間、大震災で娘たちと一緒に亡くなった。当然、彼女たちが主人公のスピンオフ小説を書ける余地がある。生前は、姉ジェラルディンと同じく、歳の離れた妹フォースティンをかわいがっていた。

 マリリン率いるフローピンク・アップルズは女性ばかりの4人編成のロックバンドであり、音楽ジャンルとしてはパンクロックに分類される。歌詞を含めてフェミニズム的な姿勢の人たちなので、プレスター・ジョン・ホリデイのような極右政党系政治家並びにその支持者たちに嫌われている。それはさておき、この時代の地球人の子孫たちの文明においては、ロックミュージックはパンクロックまでも含めて「伝統芸能」である。

『Avaloncity Stories』第二部の主要人物たちは「地球文明」の後継者である。彼らが伝える地球人文化こそが、後の第三部の世界観を作り上げるのだ。そして、様々な農作物(例えば、トマトやジャガイモなど)もそれによって生き残り、広まっている。第三部の世界における人たちは、第二部に引き続き、かつての地球人の末裔たちであり、自分たちの祖先である地球人たちを「神々」として崇拝している。


 12月11日生まれ。28歳。身長163cm。好物はフライドチキン、マカロニチーズ、ソース焼きそば、ビール。かなりの酒豪だが、酒乱ではない。見かけよりは家庭的な女性のようだが、世間の人たちはそう見ない。それでも娘たちにとっては良き母親だったようだ。

 アスターティのバックバンド〈エトラッツァ〉のドラマーであるサーシャ・スチュワートとは、古くからの友人である。彼女たちは共に大震災で亡くなったが、第三部に彼女たちに似た(もしかすると生まれ変わりかもしれない)人物たちが登場するだろう。少なくとも、『Avaloncity Stories』にはいわゆる「スターシステム」がある。

 多分、『Avaloncity Stories』の登場人物たちは、本編とは別の小説の登場人物を「演じる」事もあるだろう。我がフォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンだって、「スターシステム」によってアヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンとその妻ナナを演じるし、さらには『ウマ娘』とのクロスオーバー二次創作小説でも、アヴァロンシティの住民たちはトレセン学園の生徒としてウマ娘化されるだろう。私は『ファイブスター物語』の二次創作小説の中では、フォースタスとアスターティをAP騎士団の騎士として描きたい。多分、フォースタスにはAP騎士団の制服は似合うだろうが、ノイエシルチスやルーン騎士団の制服は似合わないと思う。


 マリリンのヘッドは、ボークスNEOヘッドにヤスリがけしてアイモールドと鼻を削ったものに、ホームセンターで購入した蛍光色の水糸(本来の用途は、工事の際に水平線を示すために使用するものである)を植毛したものである。アフロヘアとパンチパーマの中間のような髪型だが、当然、普通のドールヘアを植えた頭だと、このような短髪を表現するのは難しい。舞台化粧のような大胆なメイクは、もちろんステージ用のものである。以前はもっと落ち着いたメイクだったが、我が家のキャラクタードール全般の大々的な再塗装によって、今に至る。

 ボディは同じくボークスのビューティーSボディ(モモコドールとほぼ同じくらいの体格の素体)だが、手をNEO-EBのと取り替えている。なぜなら、ビューティーシリーズの手のパーツは劣化が早い素材を使っているからであり、より耐久性のあるNEOシリーズの手(ボディ本体と同素材)と取り替えている(もちろん、アスターティらもそうだ)。

 かなり派手なメイクだが、もちろん舞台用である。この人もサーシャも、顔の描き方が二転三転しているが、「マリリン」の名にふさわしい口元のホクロは変わらない。しかし、この個性的過ぎる容姿ゆえに、着せ替え人形としての汎用性はなきに等しい。やはり、パンクファッションでないと、このキャラクターらしくないのだ。


No.15/f.12 フォースティン・ゲイナー(Faustine Daisy Gaynor)

 ゲイナー三姉妹の末娘。ルシール・ランスロットとアスターティ・フォーチュンの親友。ルシールとは幼稚園時代からの幼馴染。内気な草食系女子。アヴァロン連邦暦331年生まれ(アスターティより一学年下)。アヴァロン芸術大学に入学するが、大震災で姉たちや姪たちと死に別れる。後にフォースタス・チャオの親友スコット・ガルヴァーニと結婚し、生まれた娘が、フォースタスとアスターティの息子グウィディオン・チャオ・フォーチュンの妻となる。

 姉たちが見事な女傑(というか、猛女)ぶりなのに対して、フォースティンは内向的で控えめな人柄である。そんな彼女に猛烈にアタックしたスコットは、見事なまでに肉食系男子だが、決して浮気者ではない。というか、仮に浮気なんぞしたら、義姉 ねえちゃんたちにぶっ飛ばされてしまう。特にマリリンなんて、元旦那がダメンズなだけになおさら怒るハズだ。

 第三部に登場する蓮華院清香 れんげいん さやかは彼女の生まれ変わりかもしれない。どちらもアスターティの親友であり、人に好かれやすい温和な人柄である。


 11月21日生まれ。身長167cm。好物はポテトグラタン、パンプキンパイ、キャラメルマキアート、琥珀糖、桃。姉たちとは違って少食である。三姉妹の中で一番「家庭的」イメージが強い「癒やし系」だが、さほど同性に嫌われていないのは、本当に「性格が良い」と見なされているからだろう。

 世間一般の同性全般に対してあれこれ複雑な思いを抱くアスターティも、彼女に対しては素直に好感を抱いている。フォースティンの家庭的かつ温和な印象とは、第一部『恋愛栽培』の主人公花川加奈子と同じく、決して男性をたぶらかすための演技ではないのだ(彼女たちは「器用な女」ではない)。そもそも、当人はいわゆる草食系女子なので、恋愛に対して積極的ではない。そんな彼女にとっては、スコットはまさしく初恋相手だったのだ。

 運動神経はそんなに良い方ではない。子供の頃からインドア志向であり、自分の部屋で本を読んだり、絵を描いたりするのを好んでいた。さらに、折り紙やジグソーパズルや透明な素材のグッズなどを好む。お菓子・デザートを作るのも、彼女の趣味であり、時々、リンゴなどの天然果汁を入れた琥珀糖を作る。彼女が絵を描くようになり、美大に進学するようになったのは、元々画家志望だった父ジャスパーの影響である。音楽に対する嗜好は、ロックよりもクラシック音楽を好む。


 人形の素体とヘッドは、ボークスのNEO-EBティーンズタイプ使用(ノーマルNEO素体のジェラルディンと比べて初々しい体型)。ただし、2024年1月27日以降はセキグチモモコドール素体に変更している。フォースタスやサーシャと同じく髪の色が微妙なメッシュ状態になっている(プラチナブロンドに銀色が混じっている)。アスターティのプラチナブロンドとは微妙に色合いが違う。姉たちが凛々しい顔立ちなのに対して、彼女は温和な顔立ちである。姉たちが母親似なのに対して、フォースティンは父親似のようだ。

 この子は「Avaloncity Dolls」の中では着せ替え人形としての汎用性が高い方だろう。以前の顔の塗装では、なぜか唇の色が『Zガンダム』のフォウ・ムラサメのようなラベンダーピンクだったが、着せ替え人形として、さらには写真モデルとして「使える」キャラクターにするために、自然なピンク系のメイクに描き変えた。

 NEO-EB素体は肩幅や腰幅が広めなので、合う服を調達するのが難しい。ミリタリー系アクションフィギュア素体ほどではないが、割と体格が良いので、モモコドール素体向けのドール服は着せられない。自分で服を作れれば良いのだが、不器用な私には難しいのね。まあ、前述の通りモモコドール素体に変更したので、着せ替えしやすくなった。

 フォースティンは「Avaloncity Dolls」としては、サーシャ・スチュワートと同じく本来は古株である。しかし、サーシャの記事にも書いてある通り、それまで作成したキャラクタードールたち全員の大々的な顔の再塗装によって、各自キャラクタードールとしての「再製作」をした。それにより、各キャラクタードールの顔の再塗装が終わった順番にシリアルナンバーが割り振られた。ただし、各キャラクターの誕生日の設定のほとんどは、最初に完成した日が元になっている。


No.16/f.13 アリス・ゲイナー(Alice Rowena Gaynor)

『Avaloncity Stories』第二部のマリリン・ゲイナーの長女(ジェラルディンとフォースティンの姪)。アヴァロン連邦暦342年生まれで、『ファウストの聖杯』終盤の時点では8歳。強気なしっかり者で、若い叔母フォースティンをちょっと軽く見ている(上の伯母ジェラルディンとは違って、名前を呼び捨てする)が、それはひとえにフォースティンが頼りない少女だからである。アリスの妹クラリスは、無邪気にフォースティンになついているのだが。

 まだ学生である若い叔母フォースティンに対しては「頼りない姉」のような存在としてちょっと軽く見ているアリスだが、何だかんだ言ってこの叔母を慕ってはいる。アリスはフォースティンの真似をして、絵を描いたり、塗り絵をしたり、ジグソーパズルを組み立てたりする。そんな彼女は、フォースティンから誕生日プレゼントとしてもらったウサギのぬいぐるみを大切にしている。

 そんな彼女は残念ながら『Fortune』終盤で、母、伯母ジェラルディン、妹クラリスと共に大震災で亡くなる。享年10歳。ゆえに、ロージー(ショチケツァル)とは違って成長した姿の人形はない。「歴史のif」的な意味合いでの成人後ヴァージョンのドール化の予定もない。まあ、成人したアリスがこうだったかもしれない…と思わせるような容姿や性格などのキャラクタードールを作る可能性は、皆無ではない(もちろん、あくまでも別の人物としてだ)。


 6月10日生まれ。第二次性徴期以前の未成年者、すなわちまだまだ成長期だったがゆえに、身長の設定はない(現代の先進国の8歳の平均身長とでも仮定しておこう。10歳版ロージーらも同様)。『Fortune』で亡くなったので、当然、成人後の身長の設定もない。好物はチョコミントアイス、生クリームたっぷりのパンケーキ、クラムチャウダースープ、叔母フォースティンが作った天然果汁・果肉入りの琥珀糖。

 彼女は自らの名前ゆえに『不思議の国のアリス』並びに『鏡の国のアリス』に対する思い入れがあり、それゆえに自らの名前を誇りにしている。うさぎのぬいぐるみは赤ん坊時代からのお気に入り(自らもまだ子供だったフォースティンは、それまで貯めたお小遣いで、姪にこのぬいぐるみを贈った)。大人びた少女だが、年相応の子供っぽさもあるのだ(本人は否定したがるが、それも子供らしさである)。ミドルネームは母方の祖母ロウィーナに由来する。この「ロウィーナ」という名前、アーサー王伝説では「王莽」ヴォーティガンの妃の名前なんだな…。

 叔母フォースティンの影響により、将来の夢は絵本作家だった。その彼女の夢はフォースティンが受け継ぐ事になる。叔母フォースティンは姪アリスとクラリスをモデルにした絵本を発表し、それがベストセラーになるのだ。フォースティンの夫スコットはさらに、妻の絵本を戯曲化し、その劇が復興後のアヴァロンシティで上演されて成功する。


 人形はボークスのミニヘッドとミニ素体を使っている。この子の髪は、金髪のつもりでこの黄色いドールヘアを植えたのだが、この髪色はあまりにアニメチック過ぎた(自然な金髪とはほど遠い色のドールヘアを選んでしまった)のが難点だ。しかし、10歳版ロージーと比べればはるかに子供としてかわいらしい顔立ちなので、着せ替え人形としての使い勝手は良さそうだ。

 やはり、子供キャラクターには子供用ドールヘッドを使った方が良いね、と改めて反省する。しかし、適度にリアリティがあって、なおかつかわいい顔立ちの子供ドールヘッドというのは、探すのは色々と難しい。それで失敗したのがロージー10歳版だ。あるドールカスタマイザーさんが「ドールカスタマイズはヘッド選びで勝負が決まる」と言っていたし、某雛人形CMでは「人形は顔が命」というキャッチコピーがあるもんね。

 アリスとロージーは同世代同士の設定ではない(そもそも、『Avaloncity Stories』本編では、互いに物語内部での接点がない)が、小説の内容とは無関係に、例えばブログ記事での新衣装披露などで、一緒に写真の被写体になる機会があるだろう。それに、『Avaloncity Stories』にはいわゆるスターシステムを取り入れるつもりなので、本来とは別の役割を演じるシチュエーションがあるだろう。我が「Avaloncity Dolls」は基本的に「役者」である。


No.17/f.14 クラリス・ゲイナー(Clarice Brigit Gaynor)

 『Avaloncity Stories』第二部に登場するマリリン・ゲイナーの次女で、アリスの妹。ジェラルディンとフォースティンの姪で、特に、フォースティンになついている(外見的にフォースティンの幼児時代に似ているようだ)。しかし、この子も『Fortune』終盤での大震災で、母や姉と共に亡くなった。享年6歳。

 とりあえず、姉アリスと同じく、「歴史のif」的な意味合いでの別年齢ヴァージョンのドール化はしない。そのようなドール化をするくらいならば、新キャラクターを作る方が良い。しかし、仮にこの子の成人した姿をイラスト化並びにドール化するならば、叔母フォースティンに似ているハズである。

 クラリスも姉アリスと同じく、フォースティンが絵本の読み聞かせをしてくれるのが好きであり、彼女もフォースティンからもらったぬいぐるみを大切にしている。フォースティン自身も、ウサギやテディベアなどのぬいぐるみを部屋に飾っている。そもそも、彼女たちゲイナー家の邸宅自体が、あちこちにぬいぐるみを飾っているのだ。中には、等身大のワニのぬいぐるみまでもある。これは、クラリスの母マリリンのお気に入りだ。

 ゲイナー家がぬいぐるみまみれだったのは、生きたペットを飼う代わりだった(ただし、三姉妹の両親がクリニックを経営していた頃は犬を飼っていたが、両親がクリニックをジェラルディンに引き継いだ際に犬を連れて行った)。まともにペットの世話を出来るだけの時間的余裕がないので、代わりにぬいぐるみをかわいがるのだ。


 10月15日生まれ。この人形での年齢設定は『ファウストの聖杯』終盤の時点での4歳だ。好物はカスタードプリン、デミグラスハンバーグ、玉子サンドイッチ。この子は、叔母フォースティンが作る料理やお菓子が大好きだ。マリリンよりフォースティンの方が家庭的な人なのだが、フォースティン自身は(そして、もちろん姉たちも)あざとく家庭的なキャラクターを演出するような女性ではない。

 クラリスは成人並びに思春期・ティーンエイジャー設定の人物ではないので、どれだけの身長かの設定はない。さらに、他のキャラクターたち全般に言える事として、体重やスリーサイズなどの明確な設定もほぼない。なぜなら、それらは物語上の条件次第で様子が変わるものだからである。だから、ティーンエイジャー未満の子供に設定しているキャラクタードールには、基本的に明確な身長の設定をしていない。

 余談だが、アスターティ・フォーチュンの脚の長さが股下90cmくらいで、スリーサイズが大体『ウマ娘』のゴールドシップと同じくらい(B88・W55・H88)というイメージがあるが、他のキャラクターたちのその辺の事情については、あえて曖昧にしている。少なくとも、アスターティはその身長(168cm)や体型からして、体重が55kg未満だというのはあり得ない。


 人形はダイソーで数年前に発売されていた「世界のお友達」のカスタム(再植毛と再塗装)。母親や姉とは違って、自然な金髪である。マリリンの髪色は「染めているから」と説明出来るが、アリスの髪色は失敗だった。あの黄色のドールヘアの商品名が「ゴールド」とは実に紛らわしい。まあ、勝手に勘違いした私が悪いのだが。マリリンの本来の髪色は、アスターティやフォースティンに似たプラチナブロンドである。

 この「世界のお友達」シリーズはバービーの妹ケリーと同じくらいの大きさで、すでに廃番になっているので、入手するならば、ネットオークションやフリマアプリなどを利用して探すのが良いだろう。ネットで「世界のお友達 カスタム」で検索してみると、色々とカスタマイズドールの画像が見つかる。実際に入手してカスタムするならば、場合によっては増毛のための再植毛をする必要がある(そのままだと、必要最低限の植毛しかされていないので、地肌が見える恐れがある)。ただし、この「世界のお友達」のヘッドは硬めの材質なので、取り扱いは要注意だ。

 クラリスら幼児キャラクターは、衣装を探すのが難しいかな? と思ったが、どうやらオビツ11ボディ用の服が良さそうである。今時の1/6ドールファン界では27cmサイズよりもオビツ11のようなちびキャラたちが人気のようだが、成人体型の1/6ドールの人気も再燃してもらいたいものである。


No.18/f.15 エリカ・カラシニコフ(Erica Abigail Kalashnikoff/Kalashnikova)

  美大生、並びにストリートミュージシャン。『Avaloncity Stories』第二部のフォースティン・ゲイナーが通うアヴァロン芸術大学の学生。フォースタス・チャオの親友ランスロット・ファルケンバーグの(一応)カノジョ。髪をピンクに染めている。無口で表情が乏しいので、一見親しみにくい人物に見える。フォースティンより年上だが、病気療養のため二年間浪人していたため、フォースティンと同学年である。『ファウストの聖杯』終盤の時点で22歳。小柄な体格だが、れっきとした成人女性である。

 本来、ロシア人などの東欧・スラヴ系の苗字は男女で語尾が違う。例えば、エリカの「カラシニコフ」という苗字は、本来ならば「カラシニコワ」という女性形だが、遠い未来の植民惑星で、英語を公用語としているアヴァロン連邦だと、その辺の法則はウヤムヤになっているので、現在のスラヴ圏とは違って男女の違いはなくなっているようだ。それに、トランスジェンダーやノンバイナリーの人たちもいるので、性別や結婚歴で苗字を変える習慣は一般的ではなくなったのかもしれない。

 多分、スペイン系などのようなやたらとミドルネームが大量につく命名(一例、パブロ・ピカソのフルネーム)も、連邦の法律によって制限されているだろう。アヴァロン連邦国民のミドルネームは、大体一つか二つまでが多いが、我がアスターティ・フォーチュンはミドルネームを持たない。そもそも彼女は、偉大な女神に由来するファーストネームだけでも十二分に目立つし、ミドルネームは必要ないだろう。


 アヴァロン連邦暦329年9月28日生まれ。身長152cm。好物はオリヴィエサラダ、ドネルケバブサンド、ジェリービーンズ、クッキー&クリームアイスクリーム。ランスとの馴れ初めは『Fortune』終盤にある大地震だが、二人は避難所で出会った。実に不思議なカップルである。ランス自身の好みのタイプには見えない彼女だが、彼は彼女に助けられたらしい。

 内向的な性格で、友人が少ないが、人間嫌いというよりもむしろ、他人に対して無関心のようだ。それだけに、なおさらランスとの馴れ初め話が気になるところである。アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンの戦友の一人の子孫たちの企業〈村雨エレクトロニクス〉社の社長である村雨信乃 むらさめ しの が作ったテディベア型ロボット〈メリッサ〉をペットにしている。この〈メリッサ〉は一見ただのぬいぐるみにしか見えないが、通信端末などの機能が付いている。どうやら、エリカは信乃とは個人的な交流があるらしいが、詳しくは不明。

 フォースティン・ゲイナーの数少ない友人の一人だが、彼女たちは大学で初めて知り合った。エリカはフォースティンと出会う以前は、意識的に友達作りを避けていた。彼女は性悪説指向で人間不信気味であり、特に同性同士の交友関係を苦手にしていた(我がアスターティにも多少はそのような傾向があったが)。しかし、エリカはフォースティンとの出会いをきっかけに、良い方向に変わっていった。村雨信乃との出会いもその頃だったようだ。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとボークスミディB(25cm)ボディ使用。いかにも不思議ちゃん然とした格好のキャラクターだが、見かけよりは冷静沈着な現実主義者である。しかし、原宿系ファッション誌のKERAが紙媒体としては休刊してしまったのは実に残念だった。人形写真撮影の際のコーディネートの参考資料だっただけに、実に残念なのだが、そもそも色々な系統のファッション雑誌を参考にすべきだからなぁ…。

 とりあえず、エリカ嬢はこの容姿ゆえにKERA系・原宿系ファッションしか似合わない。我が「アヴァロンシティ・ドールズ」にはありがちな事態だが、彼女のファッションドールとしての汎用性は低い。まあ、そもそも小説とドールカスタマイズを結びつけるという発想の前に作ったキャラクターだから、こんなチグハグなデザインになってしまったのね。

 派手な原宿系ファッションのエリカだが、彼女の本来の髪色はブルネット(濃い茶色系の髪色)である。目の色は、カラーコンタクトレンズではなく自前の色だ。その本来の髪色での別のドールヘッドを作るつもりはない。そのような手間ひまかけるくらいならば、別の人物の人形を作る。


No.19/f.16 ライラ・ハッチェンス(Lailah Bella Hutchence)

 小説『ファウストの聖杯』に登場する作家で中国文学者のアーサー・ユエの妻。画家。スミレ色の瞳が印象的な、妖艶な黒髪美女である。夫の教え子フォースタスを誘惑し、不倫関係になるが、一人息子マークに殺されてしまう。享年45歳。

 エリカ・カラシニコフと同じく、アヴァロン芸術大学美術科卒業。父は劇作家で、母は舞台女優だった。どちらも「人の親」にふさわしい人物たちではなかったらしく、それが彼らの娘であるライラの性格に悪影響を与えたのかもしれない。ただし、ライラは決していわゆる「悪女」ではなく、世間一般に流布しているイメージよりはよっぽど善人である。

 ファーストネームの「ライラ」はヘブライ語やアラビア語で「夜」を意味し、ミドルネームの「ベラ」はイタリア語で「美女」を意味する。フォースタス・チャオはこの「夜の魔女」に魅了されて、人生が傾きかけた。そして、ライラ自身もこの「幸ある者」の生命力に魅了されて命を落とす。


 9月3日生まれ。身長165cm。好物はバラ味のマカロン、スミレの砂糖漬け、ビーフストロガノフ、バタフライピーティー。黒髪と紫色の目はまさしく宿命の女 ファム・ファタール」の美しさである。そんな彼女がなぜトホホなフォースタスに惹かれたのか? 当人が夫の愛弟子で身近だったからというだけではないだろうが、それにしても不思議なカップリングである。

 まあ、自分や息子マーク以上に夫に愛されているフォースタスに対して、多少なりとも嫉妬や羨望があったのかもしれないが、フォースタスが持つある種の純真さに惹かれたのかもしれない。「馬鹿な子ほどかわいい」に近い感覚かもしれないが、フォースタスという男にはある種の女性の母性や、他の一部男性の父性(や「ブラザーフッド」)を動かす「ほっとけない」何かがあるのだろう。

 それにしても、旦那のユエ先生は実にひどいお方である。『Avaloncity Stories』全体においても、ユエ氏ほどひどい男性キャラクターはそうそういないだろう。あ、「マッチョマン」プレスター・ジョン・ホリデイ氏という強力な男性キャラクターはいるが、ホリデイみたいな「パワー型の嫌な男」以上に、ユエ先生はタチが悪い人だろう。

 ライラの苗字は、80年代のオーストラリアで人気があったバンド、インエクセスのヴォーカリストだったマイケル・ハッチェンスに由来する。私は90年代、旧コーエーの出版部が発行していた歴史投稿雑誌シリーズ『光栄ゲームパラダイス』『歴史パラダイス』『Da Gama』『歴史ファンワールド』を愛読し、自作イラストを投稿していたが、この雑誌シリーズは恐るべき傑物を輩出した。言わずと知れた人気漫画家の荒川弘氏である。

 この雑誌シリーズの最初『光栄ゲームパラダイス』にあった競馬コーナーで、私は当時の人気競走馬の名前を何頭か知ったのだが、前述のマイケル・ハッチェンス氏は自殺で亡くなり、ライスシャワー号はレース中の事故で安楽死した。私が彼らの最後を知ったのは、コーエーの一連の投稿雑誌シリーズが廃刊してからの事である。しかし、マイケルの後にインエクセスのヴォーカリストになった人物に「フォーチュン」姓の人がいたのだが、私のアスターティ・フォーチュンの苗字は彼とは全く無関係であり、偶然の一致である。


 人形はボークスNEOヘッドとセンチュリーモデルボディ使用。このセンチュリーモデルのボディは肩幅が広く、胸も大きめなので、なかなか似合う服が見つからない。ボークスのファッションドール「センチュリーモデル」シリーズの新作が出なくなったのは、どうやらプロデュースをしていたドールカスタマイザーさんが病気療養のために活動をやめたかららしい。もう一つのプロデュースチームも、現在の状況は不明である。

 しかし、複数の作家さんたちがキャラクターデザインを手がけていた「ロストエンジェルス」までも新作が出なくなったのは、どうした事なのか? そもそも、エクセレントボディの後釜となる新素体の開発の情報もないし、1/6ドールオタクの私としては色々と残念である。

 ライラの瞳がスミレ色なのは、今は亡き往年の大女優エリザベス・テイラーの目の色が元ネタである。ライラ自身の容姿はリズには似ていないけどね。


No.24/f.17 ジェシカ・キャクストン(Jessica Caxton)

 『Avaloncity Stories』第二部に登場するマロリー法律事務所の所長リチャード・オーガスト・マロリーの孫。リチャードの息子「テディ」ことセオドア・マロリーのそのまた息子であるブライアン・マロリーのいとこ。ローザ・マロリー・キャクストンの娘。ブライアンとは同年同日に同じ病院で生まれた。リチャードじいさんは、とにかく孫たちを猫かわいがりする。

 ジェシカもブライアンと同じく、二人のフォースタス、すなわちフォースタス・マツナガとフォースタス・チャオに懐いているし、アスターティ・フォーチュンにも懐いている。そう、全ての子供たちは幸せであるべきなのだ。

 成長したジェシカは普通のアヴァロンシティ市民(と言っても、後述の通り〈アガルタ〉の職員になるのだが)として幸せな人生を送るだろう。おそらくは、彼女も〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉によって「新人類」たちの祖先になるのだ。コートニー・サトクリフ大統領が言う通り、二つの大河が一つの流れに再合流していき、〈聖なる星〉から続く「人間讃歌」はさらに続いていく。


 6月22日生まれ。好物はカルボナーラパスタ、エビチリ、シュクメルリ、フェイジョアーダ、トゥンカロン(韓国風マカロン)。前述の通り、従兄弟ブライアンとは同じ病院で同年同日に生まれた。『ファウストの聖杯』終盤の時点で3歳。ブライアンらと同じく、アヴァロン連邦暦353年5月5日のパンジア大陸西部沖大地震を生き延びた。成人後は〈アガルタ〉の職員となり、そこで〈ソロモン・プロジェクト〉に参加し、バールたちとの間に「新人類」を生む事になる。

〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉は、アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンの理念から生まれた。それまで実質的に奴隷として扱われていたバールたちに「人権」を認め、社会の一員として認めて共存していくのが、彼の願いだった。〈アガルタ〉とは、彼の理念から生まれた研究機関であり、人類の「しゅ」としての存続のために存在する。その副産物として、様々な研究成果があるのだが、それらも第三部へとつながって行くのだ。

 いわゆる「マッチョマン」ことプレスター・ジョン・ホリデイなどの「右派」「保守派」「排他主義者」たちの非難とは裏腹に、バールたちと天然の人間たちとの融合は進んでいく。「全ての者たちのために世界はある。我らが母なる惑星 ほしアヴァロンは、天然の人間たちもバールたちも問わず、この惑星に生きる全ての人民たちのためにあるのだ」…アーサー・フォーチュンと彼の仲間たちの願いは叶えられつつある。

 アヴァロン連邦崩壊(もしくは消滅)後も、〈アガルタ〉は第三部まで続いていく。しかし、表向きには実在の真偽が不明の伝説の都市として語り継がれていく。それは、〈アガルタ〉の分身である空中都市〈ヒメルシュタット〉、すなわち恒星間宇宙船アヴァロン号にも言える。第三部の〈アガルタ〉はアヴァロン帝国の「カーテンの奥」にある。


 人形はダイソー「世界のお友達」の再植毛カスタム。小学校入学前の幼児の姿なので、身長の設定はない。従兄弟ブライアンと同じく、「ケニア」の女の子ドールが元になっている。元はショートヘアだったが、再植毛してお湯パーマをかけている。「ケニア」の女の子ドールをモチーフにしている事からも明らかなように、ジェシカは黒人の女の子である。彼女は前述の通り、アヴァロン連邦暦353年5月5日のパンジア大陸西部沖大地震を生き延びて成人するが、成人後のドール化の予定はない。

 このサイズのお人形の服といえば、ミキちゃんマキちゃん用か、オビツ11用だが、そのサイズの服なども色々と調達したいものである。ただし、オビツ11自体は中性・無性的な造形のようだが、オビツ11用の服の多くは女の子用のものなので、男の子用の服を調達するのは難しいだろう。まあ、地道にフリマアプリやネットオークションなどで確かめてみよう。

 この子の人形も「スターシステム」に基づき、他の話で他のキャラクターを演じるだろう。多分、第一部にも彼女の出番がある話があるだろうが、いつ書けるかは当然、予定は未定である。まあ、小説の内容とは無関係に写真の被写体になるが、それはもちろん、全てのキャラクタードールたちに言える。


No.26/f.18 スリス(3歳版)(Sulis)

 『Avaloncity Stories』第二部に登場する、〈アガルタ〉の人工子宮〈ダーナ〉から生まれた女性型バール。タラニスの双子の妹。名前の由来はケルトの太陽女神。アスターティ・フォーチュンよりも古い世代(アヴァロン連邦暦100年代)のバールであり、成人後も生殖能力を持たない。兄タラニス(人間名は『永遠の王』の作者と同姓同名のテレンス・ハンベリー・ホワイト)がバール専門の格闘技〈バールファイト〉(要するに『キン肉マン』の超人プロレスの総合格闘技版)の選手になるのに対して、彼女はバール専門の陸上競技〈バールレース〉(要するに『ウマ娘』のレースそのものであり、競馬と同じ障害レースもある)の選手になる。

 バールレーサーとしてのスリスは、障害レースの選手である。その驚異的なジャンプ力こそが、彼女の潜在的な戦闘能力をほのめかす。もちろん、同じ事は兄タラニスにも言える。そんな彼らの前に立ちはだかるのが、カルト教団〈ジ・オ〉並びにその政治部門である政党〈神の塔〉である。

 幼児設定の人形で立体化したキャラクターは、成人後の姿をドール化しない…とは限らない。彼女も、兄タラニスも、これから成人後の姿をドール化する可能性があるのだ。なぜなら、私は彼らのプロフィールの文面を考えているうちに、彼らの物語上のキャラクターとしての「可能性」に気づいたからである。


 12月19日生まれ。好物はマルゲリータピッツァ、ミートローフ、プーパッポンカリー、クラムチャウダースープ、マリトッツォ。スリスの「人間名」はサリー・キャンディス・ホワイト(Sally Candice White)。ミドルネームと苗字が『キャンディ・キャンディ』のヒロインと同姓同名である。そんな彼女は、兄タラニス(前述の通り、人間名はテレンス)を「テリー」という愛称で呼ぶ。

 タラニスとスリスが生きていた時代の小説を書くとすれば、バール専門のプロスポーツをテーマにしたものになるだろう。惑星アヴァロンの地球連邦からの独立によって、平和な世の中になった時代なので、スポーツには「戦争の代用品」という一面がある。アヴァロン連邦にも現代の地球と同じくオリンピックがあるが、これは「国」同士ではなく「州」同士で競うものだ。

 そんなアヴァロン連邦においても、世界平和に対して居心地の悪さを覚える者たちがいる。裏社会の者たちだけではない。一般人社会においても、「戦火の匂い」に飢える者たちがいるのだ。

 そのような者たちの中から、かつての地球にあったキリスト教原理主義の流れをくむカルト教団〈ジ・オ〉並びにその政治部門である政党〈神の塔〉は生まれた。その〈ジ・オ〉と〈神の塔〉には「出生主義 ナタリズム派」と「反出生主義 アンチナタリズム派」との内ゲバがあるが、それらは意図的に仕組まれているものらしい。妊娠中絶手術を行なう産婦人科医やその患者たちも、大家族の構成員たちも、彼らの被害に遭う。さらに彼らは、同性愛者やトランスジェンダー当事者などの性的マイノリティーに対するテロリズムを行う上に、障害者や貧困層に対する犯罪も行う。

「あれが現代に蘇ったナチスだ」

 タラニスとスリスは、この「巨悪」と戦う事になるだろう。


 人形はダイソーの「世界のお友達」の再植毛カスタム。マリリン・ゲイナーやタラニスと同じく、ホームセンターで購入した蛍光色の水糸(本来の用途は、工事の際に水平線を示すために使用するものである)を植毛している。他の二人と同じく、アフロヘアに近い髪型になっている。普通のドールヘアの植毛でアフロヘアにするのは難しいね。

 前述の通り、スリスとタラニスは成人後の姿をドール化する可能性が突然出てきたが、二人ともプロアスリートらしい引き締まった筋肉質の体型の素体を使いたい。とはいえ、あのウマ娘たちの中には、アスリートらしくない体型のキャラクターも何人かいるのね(要するに、ボイン系の女の子たち)。まあ、あくまでも「ファンタジー」だからと言えるのだが、『ファイブスター物語』のファティマたちは一部ウマ娘とは対照的な鶏ガラ体型でも、常人をはるかに上回る筋力を持っている。まあ、作者の永野護氏が「おとぎ話」という名目を持ってこの漫画を執筆しているので、仕方ない。王欣太氏の『蒼天航路』や『達人伝』、さらにはコーエーテクモゲームスの無双シリーズの女性キャラクターたちが白人女性的な肉体美を見せつけるのも「ファンタジー」「おとぎ話」である。

 それはさておき、プロアスリートとしてのタラニスとスリスの人形はそれらしい体型の素体を用意したい。特に、タラニスはプロの格闘家なので、それ相応の体型・体格の素体を使う必要がある。


No.27/f.19 ショチケツァル/ロージー・マニャール(3歳版)(Xochiquetzal / Rosie Magnard)

 この子はショチケツァル(ロージー)の3歳ヴァージョンである。一人のキャラクターで複数の人形化を果たしているのは、現時点では彼女だけである。しかし、タラニスとスリスの成人後の姿をドール化する可能性が生じたので、ロージーは「唯一の例外」ではなくなる。彼女についての詳しい説明は、他ヴァージョンの記事にあるが、当記事はその補足である。

 成人後の彼女はレズビアンであり、男性との性行為はしない。それゆえに、彼女は〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉においては、人工授精で妊娠・出産する事になる。彼女は天然の人間女性と結婚するが、相手は〈アガルタ〉とは関係ない一般人である。ロージー自身はアガルタの職員になるので、パートナーは自分たちの身の安全のためにアガルタ特別区に引っ越して、彼女と一緒に暮らすようになる。このパートナーは人工授精でロージーの兄ロジエ(ショチピリ)の子を妊娠・出産する。

 もちろん、このカップルは自分たちそれぞれの妊娠・出産のタイミングを調整しているが、それも〈アガルタ〉の全面的サポートのおかげである。ロージーは4人、パートナーは3人の子を産み、7人兄弟姉妹の家庭になる。ロージーが産んだ子供たちのうち、少なくとも一人は『Fortune』のマイケル・クリシュナ・ランバートの子供である。

 フォースタス・チャオは、非業の死を遂げた親友がこのような形で子孫を残したのに対して安心した。彼ら惑星アヴァロンの人民たちの子孫たちこそが『Avaloncity Stories』第三部の物語を作っていくのだ。


 4月28日生まれ。好物は17歳ヴァージョンと同じ。この幼児版ロージーには身長の設定はない。17歳ヴァージョンの身長の設定(165cm)こそが、成人後の身長である。兄のロジエも多分、身長170cmで成長が止まる。少なくとも、この兄妹はタラニスやスリスほどにはゴツくはならず、妖精のような美しさを老いてもなお保ち続けるだろう。

 タラニスやスリスが生きていた時代は、バールと天然の人間のプロスポーツがそれぞれ別物になっていたが、〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉によってバールと天然の人間との融合が進み、「新人類」たちが一般社会に浸透している。それゆえに、密かにバールと天然の人間との間に生まれた者たちが少なからずいる。それに対して抵抗を続けるのが、かつての地球文明にあったキリスト教原理主義並びにナチズム・ファシズムの流れをくむカルト教団〈ジ・オ〉並びにその政治部門である政党〈神の塔〉である。

 連邦政府、〈ジ・オ〉教団、様々なマフィア組織などの裏社会、各州の独立派らが群雄割拠となり、アヴァロン連邦は混沌の時代へと突入していく。そして、神話の如き3000年ほどの月日が経ち、第三部の物語につながって行く。

「歴史は生き物だ。そして、我々はその細胞組織なんだよ」

 地球史の時代から生まれ変わりを繰り返して生き延びるタリエシン・トラロックは言う。彼は厳密に言えば「神」ではないが、神々に等しい年月を生き続け、見届けていた。彼は〈聖なる星〉から伝わる歌を歌い、物語を語り伝える。かつての〈アガルタ〉の総長シャマシュ公も、彼のように人類を見守っていた。


 人形は、クラリス・ゲイナーらと同じくダイソー「世界のお友達」の再植毛・再塗装である。同じロージー・マニャールというキャラクターでも、10歳ヴァージョンとは違って、ちゃんと子供らしいかわいらしさがある。私が「世界のお友達」人形をカスタムした子たちの中では、一番気に入っている。この子たちのために色々と服や靴などを調達したいが、女の子設定のこのサイズならば、比較的服を入手しやすい。

 問題は男の子設定のキャラクターなのだが、同じ事は成人男性設定のキャラクターたちにも言える。特に、男性型素体は色々と体格・体型があるので、それらに合う服を見つけるのは難しい。女性型素体でも、ミリタリー系アクションフィギュア素体だと、なかなか合う服を入手しづらい。

 例えば、ボークスの廃番済み少年・青年型1/6ドール素体は、ある程度は同じくらいの大きさの女性型ドール服を着せられる。しかし、いわゆるミリタリー系のアクションフィギュア素体だと、これは服や靴などを調達するのが難しい。こういう時に頼りになるのが、メルカリやヤフオクなどのフリマアプリやネットオークションなのだが、こちらと出品者側双方のタイミングが難しい。すでに別の人たちが落札している事が少なくないからね。


No.28/f.20 「百合姫」エレイン(Elaine The Lily Maiden)

『Avaloncity Stories』第一部『Blasted 2 ―亢龍悔いあり―』の主人公であるランスロット(ベンウィックのバン王の三男)に仕える女刺客。元戦災孤児で、豪商ダゴネットに育てられ、ランスロットに仕える。記憶喪失の彼女は、ランスロットの亡き母の名を与えられる。祖国と家族の敵討ちを果たさないうちは妻帯しないと誓ったランスロットだが、彼のパトロンであるダゴネットは「保険」としてエレインを彼に添い遂げさせる。

 彼女はランスロットの息子フォースタスを産むが、その名はフォースタス・チャオに由来する。エレインは正体不明の孤児であり、おそらくは庶民の娘だったであろう彼女だが、その清楚な美貌から、どこかの王女かと思われる事もある。聡明な彼女はダゴネットによって、読み書きだけでなく様々な暗殺術を習得している。特殊な糸や綱を用いて、標的を絞殺するのだ。

 彼女はランスロットの心がグィネヴィア王妃へと移っていくのを知り、失意に陥る。そして、彼女は敵の手中に陥り、命を落とす。ランスロットは彼女の亡骸を抱きしめ、静かに涙を流す…というのが、円卓の騎士ランスロットの事実上の妻としての説明だが、彼女も「スターシステム」によって様々なキャラクターを演じる事になる。第一部だけでも、色々な役柄を演じるだろうし、出番ごとにフルネームが違うハズだ。

 前述の通り、『亢龍悔いあり』においては、エレインは円卓の騎士ランスロットの事実上の妻となる。彼女はマロリー版とは違って、一応はランスロットと相思相愛となる。しかし、彼女はランスロットとの身分の違いゆえに彼の正妻にはなれず、さらには新たな恋敵グィネヴィアの登場により、彼女は自らの命を落とす事になる。ランスロットの息子の母親という立場は、トマス・マロリー『アーサー王の死』に登場するコーベニックのエレインと共通するが、彼女の息子はギャラハッドとは別人である。「ギャラハッド」なる人物は別に存在するのだ。

 百合の花が彼女のシンボルなのは、アスターティ・フォーチュンや松永緋奈と同じである。大輪の薔薇グィネヴィア王妃の陰でひっそりと咲く白い百合の花が「百合姫」エレインという女性だ。


 3月16日生まれ。身長166cm。現代人並びに第二部の登場人物としての好物は、エビグラタン、バニラ味のマカロン、八宝菜、握り寿司の穴子、カルーアミルク。近現代の話においては、女優やモデルなどの仕事に就くキャラクターになるだろう。第三部辺りでは、どこかの国の王侯貴族の女性として出てくるかもしれない。

 ランスロットにとってのエレインは、彼や商鞅の分身である松永久秀にとっての緋月のような存在かもしれない。だからといって、別にグィネヴィアは緋奈の同類ではない。ただし、フォースタス・マツナガ博士の恋人であるジェラルディン・ゲイナーがエレインや緋月の生まれ変わりである可能性は否定出来ない。


 人形は「アヴァロンシティ・ドールズ」で定番のオビツ27cm女性型02ヘッドにボークスNEO-EBを組み合わせもの。同じ美白肌でも、色合いがやや違う。ヘッドはブロンドと銀色のドールヘアのミックス植毛で、アスターティやフォースティン・ゲイナーのプラチナブロンドよりも銀髪に近い髪色である。グラマラスな造形のNEO-EBだと、モモコドールのような細身の人形向けの服は着せられない。

 顔立ちは清純派美女だが、首から下はグラマラスというギャップ狙いのキャラクターだ。同じ「ランスロット」のパートナーでも、「不思議ちゃん」エリカ・カラシニコフとは対照的である。体型こそはグラマラスだが、セクシー系の格好だけでなく、お姫様風の格好も似合う容姿に製作したつもりである。そんなお姫様風の衣装もあれこれ用意したい。


No.30/f.21 村雨信乃(Shino Murasame)

①「第二部」…アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォーチュンに協力した女性科学者。〈村雨エレクトロニクス〉社の創業者であり、同姓同名の②の先祖である。このアーサー・フォーチュンの「盟友」たちの子孫たちが、後の時代に大きな影響を与えている。二代目フォースタス・チャオもフォーチュン大統領の「盟友」の子孫である。

②「第二部」…村雨財閥のお嬢様。①の子孫。わずか13歳で大学を卒業した理系の天才少女。アヴァロン大学工学部卒業生。パンジア大陸の東の海にある島国蓬莱 ホウライ州にある〈村雨エレクトロニクス〉社の社長。趣味として、テディベア型の高性能ロボットを作っているが、彼女の友人エリカ・カラシニコフの持つテディベア型ロボット〈メリッサ〉もその一つである。

 パンクやロリータなどのKERA系・原宿系のファッションを好む。五つ子の弟たちがいる(もちろん、彼らはバールではなく天然の人間たちである)。この弟たちも、第三部の登場人物たちの先祖になるはずである。

③「第三部」…蓬莱の公家の娘で〈猫使い〉。前述の村雨家の子孫であり、吟遊詩人タリエシン・トラロックが語る『蓬莱剣劇伝奇』こと『満月の誓い』などに登場する。〈猫使い〉並びに〈犬使い〉とは要するに魔法戦士の一種であり、使役動物である〈マスコット〉すなわち使い魔を駆使する者たちである。犬使いは蓬莱では武士たちが主流派の東国に多く、猫使いは商人たちが主流派の西国に多い。他の国では、犬使いは遊牧民族に多く、猫使いは都会人に多い。

 この村雨信乃という人物もまた、「スターシステム」によって様々な物語に登場する。第一部にも、何らかの形で物語に出てくるだろう。もしかすると、『Avaloncity Stories』の枠組みから外れてしまう可能性すらあるかもしれない(第二部だと、アヴァロン星以外の植民惑星が舞台の話に彼女に相当するキャラクターが出てくる可能性がある)。もちろん、予定は未定だが、他の名前で何らかの話の登場人物になる可能性はある。


 5月5日生まれ。身長150cm(これは成人後も変わらない)。好物はぜんざい、クリームあんみつ、エビ天丼、水餃子。趣味は裁縫と機械いじりだが、前述の通り、彼女はそれでテディベア型ロボットを作っている。これらは通信端末などの機能があり、災害時などに色々と役立つようだ。第三部における彼女の同姓同名の子孫も、何らかの魔力を込めた人形を作っている。

 アーサー・フォーチュン大統領の盟友だった信乃も、ぬいぐるみや着せ替え人形の愛好家であり、地球史における着せ替え人形のレプリカを収集していた。フォースタス・チャオの先祖が立ち上げた一連の企業群に〈邯鄲 ハンタントイズ〉社があるのには、彼女の影響が少なからずあるのかもしれない。

 第三部の信乃は猫を使い魔 マスコットとして働かせるが、いずれの信乃も愛猫家である。村雨家の屋敷は「猫屋敷」と呼ばれている。


 信乃の人形にはボークスミディA(25cmサイズ)素体とCヘッドを使用している。この姿は、彼女の15歳の頃のイメージであるが、成人後も特にイメージは変わらないだろう。それにしても、我が「アヴァロンシティ・ドールズ」の女性陣はおかっぱ頭が多い(アスターティ・フォーチュン、ライラ・ハッチェンス、エリカ・カラシニコフなど)。おかっぱ頭以外でも、前髪ぱっつんで後ろ髪は伸ばしっぱなしの子が多い。まあ、それだけお人形の髪型作りは難しいのね。

 サラン樹脂などで出来ているドールヘアには「お湯パーマ」という技法で髪にクセをつけられるのだが、しかし、それでアフロヘアにするのは私のような素人には難しい。市販の既製品ドールで髪型がアフロヘアの場合、生身の人間のアフロヘアよりも髪の広がり(の比率)が大きい場合がある(人形自体の頭の大きさにもよるが)。ヒルダ・マーズやマリリン・ゲイナーのように、極細毛糸や水糸を植毛して、丸く刈り込む方が、お湯パーマよりもアフロヘアを作りやすいだろう。

 信乃は顔つきが個性的で、なおかつリカちゃんより背が高くモモコドールより背が低い25cmサイズなので、これまた着せ替え人形としての汎用性が低い(まあ、今はモモコドールにも信乃と同じくらいの身長のヴァージョンがあるのだが)。とはいえ、それが彼女の「アヴァロンシティ・ドール」らしさだと言える。和風のお姫様らしい格好が似合いそうなキャラクターとして、松永緋奈&緋月義姉妹がいるが、もっとお姫様らしい日本人女性設定のキャラクタードールを作りたい。


No.31/f.22 芥川蘭子(Ranko Akutagawa)

①美大生。北海道でラジオパーソナリティとして活動している日本画家松永少伯(本名、松永舜太郎)&漫画家松永恵真 えま(旧名、エマ・ホームズ)夫妻の後輩。すなわち、『Avaloncity Stories』第一部の現代編(1945年から2050年くらいまで)に登場する人物である。

 武蔵野美大卒業後、漫画家の神楽坂嘉毅 かぐらざか よしき(『聖なる星のグリモワール』の登場人物の一人)のアシスタントとなる。この神楽坂嘉毅は、二代目フォースタス・チャオの先祖の一人である作家の神楽坂翔太の従兄弟である。この現代人の蘭子が後述の蘭子の先祖かどうかは不明だが、多分、家庭的な女性とはほど遠い蘭子が子孫を残す可能性は低い。

 いずれにせよ、私が彼女が主役の話を書く可能性は低い。私自身(並びに、私の意志を継いでくれるかもしれない人)がその気になれば、彼女が主人公の話を書けるだろうが、彼女は『Avaloncity Stories』の登場人物としては基本的にあくまでも脇役である。

②『Babelcity Explode』の巨大都市〈バベルシティ〉の地下エリアの〈リンボ・タウン〉の住人。表向きはカフェバーで実は便利屋である〈ステイゴールド〉で、岸和田小夜子と一緒に雑務の仕事をしている。彼女こそが〈ステイゴールド〉の頭脳であり、一見だらしないグータラ女である小夜子と共に、「仕事人」立花エレクトラと北条シグニィを支える。『Babelcity Explode』はアヴァロンとは別の植民惑星ディルムンが舞台なので、『Avaloncity Stories』としては「外伝」「番外編」になる。


 3月11日生まれ。身長162cm。好物は豚骨ラーメン、チョコミントアイス、えびせんべい、豚の生姜焼き、パクチーを効かせた海鮮塩焼きそば。趣味は絵画と読書とネットサーフィン。『Babelcity Explode』では時々、ダークウェブで犯罪者集団にハッキングという形でお仕置きをしている。〈ステイゴールド〉における知恵袋。

 彼女ら〈ステイゴールド〉の面々は地下エリア〈リンボ・タウン〉で生まれ育った。それゆえに、地上の住人たちと接点を持つ機会は少なかった。彼女たちは時々仕事のために地上エリアに出るが、そのために色々と工夫をしている。蘭子のハッキング技術もそのために必要不可欠な知恵なのだ。エレクトラ、シグニィ、小夜子、蘭子は、単に地上の「上級女性」たちに対して恨みを抱いているのではない。年齢や性別や人種などの「属性」を問わず、全ての人民たちの平和と自由と豊かさを求めて闘うのだ。

 彼女たち〈ステイゴールド〉の面々は「上級女性(アルファ)」でもなければ、明確に「下級女性(オメガ)」扱いされてもいない「一般女性(ベータ)」だが、母親の代から地下エリア〈リンボ・タウン〉で育ってきた。彼女たちは地上から地下に追放された女性たち(と一部のわずかな男性たち)を助けている。そんな彼女たちの支援者として、「下野」した一部の元「上級女性」たちがいる。地上の「上級女性」同士の抗争は、「一般女性」や「下級女性」たちを、さらには天然・人造問わず男性たちをも巻き込んで、バベルシティを揺るがす事態になるのだ。そこに現れた「救世主」として歓迎されたのが松永りりこと織田こずえである。

 蘭子ら〈ステイゴールド血盟軍〉並びに私立探偵最上ファルコ(実はりりことこずえの弟であり、果心居士と松永緋奈の息子である「変身探偵」)と自称「魔法少年」島津小白 シャオパイは、りりことこずえを後方支援する。バベルシティを牛耳る「巨悪」を倒すため、彼女たちは地下に追いやられた者たちを導く事になる。

 蘭子はバー〈ステイゴールド〉において、厨房で料理を作っている。接客はもっぱらエレクトラとシグニィがしており、その間、小夜子は2階の居住空間で色々と裏稼業での様々な作業などをしている。りりことこずえは、しばらくはこの〈ステイゴールド〉の世話になるのだ。


 人形はボークスのエクセレントA素体だが、ヘッド(同じくボークスの製品)の型番は覚えていない。髪はレース編み用の糸を植毛している。すっぴんではなく、ベージュ系のナチュラルメイクをしている設定(ただし、物語内においてはすっぴんでいる事が多い)。彼女の髪型もアフロヘアかもしれないが、サラン樹脂のドールヘアには出せない質感がある。

 分かりやすい美貌はなく、髪型はアフロヘアという個性的な容姿なので、これまた着せ替え人形としての汎用性は低い。しかし、「(髪型以外は)平凡な容姿の女性」という設定であればこそ、リアルクローズ系の人形服が似合うかもしれない。ただし、ボーイッシュな容姿ゆえ、分かりやすく「女らしい」格好は似合わないだろう。

 彼女はスカートは似合わなさそうだが、いわゆるボヘミアン系のファッションならば、ロングスカートのコーディネートが似合うかもしれない。意外なキャラクターに意外なコーディネートが似合うという事態は、案外少なからずあり得るだろう。


No.32/f.23 アナベラ・スカーレット・ローズ(Annabella Scarlet Rose)

①『Avaloncity Stories』第一部では、日本生まれで北海道に住むイギリス人少女。アイルランド系の血筋。オスの黒猫〈ルーク〉の飼い主。日本画家でラジオパーソナリティの松永少伯(札幌市民)の家の近所(北区某所)に住んでいる。愛称は「アナちゃん」。緋色のバラのつぼみのような少女である。

②『Babelcity Explode』の登場人物。巨大都市〈バベルシティ〉の上層部に住む、いわゆる「お嬢様」の少女。スカーレット・ブーケ・ローズの娘。この小説の用語で言う「アルファ」すなわち「上級女性」の「幼体」である。「女社会」バベルシティにおいては、能力主義 メリトクラシー容姿差別 ルッキズムに基づく超格差社会によって「秩序」が保たれており、体制に反逆する女性たちは(たとえアルファ女性でも)身体改造によって、労働や代理母出産に特化した「オメガ」すなわち「下級女性」へと身分を落とされる。

 アルファ女性の多くは人工子宮によって作り出されるが、一部のアルファ女性は「趣味」として自ら子を産み、育てる。アナベラ・ローズとは、そのような「アルファ2世」である。バベルシティ市長足利さとみは「ベータ」すなわち「一般女性」だが、バベルシティ上層部の傀儡としてバベルシティの「雇われ市長」になっている。さとみの娘ハルナが松永りりこらと出会う事により、バベルシティに革命がもたらされるカウントダウンが始まる。

 男性たちや「普通(並びにそれ以下)の女性」たちを迫害してきた強者 アルファ女性たちは、普通の ベータ女性や弱者 オメガ女性、さらにはこの時代では希少な天然の男性たちからの報復を恐れる。しかし、アルファ女性の中には、自らのそれまでの立場を捨てて「下野」し、文字通り地下に潜り込んで弱者たちを救う者たちもいる。名医曲直瀬青華 まなせ せいかもその一人である。彼女はトランスジェンダー当事者を迫害する上層部に反逆し、地下エリアに亡命してトランスジェンダー当事者の手術などの医療活動を行っている。

 決死の亡命をした一部の強者女性 アルファたちだが、実は彼女たちの動向も上層部の何者かの思惑があると思われる。そもそも、バベルシティの上層部は決して一枚岩ではないのだ。この都市の黒幕と、もう一つの勢力との対立関係があるのだ。それは、「雇われ市長」に過ぎない足利さとみには想像がつかない事態かと思ったら、実は…? 


 7月17日生まれ。人形の年齢設定は10歳。成人設定ではないので、身長の設定はない。好物はスープカレー、〈みよしの〉の餃子、味噌ラーメン、セイコーマートのメロンソフト、自分の母親特製のアイリッシュシチュー(みよしの餃子やセイコーマートのメロンソフトは、第一部の日本のアナベラの好物だが、他の話でも類似品を好むだろう)。

 芥川蘭子の記事もそうだが、このアナベラの記事も『Babelcity Explode』の登場人物としての解説が中心である。もちろん、彼女も蘭子も「スターシステム」に基づいて様々な役柄を演じるだろうが、『Babelcity Explode』ではどちらもそれなりに重要な立場にある。彼女たちは元々は小説執筆とは無関係に作成されたカスタマイズドールだが、小説の内容に連動する方針に切り替えてからは、新たに小説の世界観における役目を負う事になる。


 人形はオビツヘッドとアゾンのピュアニーモを組み合わせたもの。元々は貴族のお嬢様というイメージで作ったハズだが、いざ出来上がったら、ずいぶんと庶民的かつオバちゃん的なたくましさを感じさせる雰囲気になってしまった(それゆえに、第一部では「名誉道産子」になっているのだ)。「スカーレット」というミドルネームにふさわしい赤毛だが、これは2色のドールヘアを混ぜて植毛している。

 このミックス植毛というのは、色同士の透明度(もしくは不透明度)が釣り合っていないと、不透明かつ色合いが明るい方の色が悪目立ちしてしまう。それゆえに、このような植毛をする際は、色の組み合わせがふさわしいか気をつける必要があるのだ。とはいえ、意図的に目立たせるメッシュ植毛をするならば、その限りではない。

 このアナベラはリカちゃんサイズだが、彼女に使っているピュアニーモ素体は、柔らかさを感じさせるむっちりした脚がチャームポイントである(韓国の『ドランドラン』人形の素体もそうだが)。タイツなどを調達する際は、ピュアニーモ素体専用のものを入手するのが望ましい。


No.33/f.24 ブライトムーン/ブリジット・スミス(Brightmoon / Brigit "Brightie" Smith)

 愛称は「ブライティ」。『Avaloncity Stories』第一部に登場する〈アガルタ〉の精霊。前世はヴィクトリア朝のロンドンの庶民の娘だった。家の火災(放火か失火かは不明である)で焼死したところを太公望呂尚に拾われ、アガルタの精霊となる。この人形は、その精霊としての力を最大限に発揮する際の姿を表したものである。彼女は光の精霊であり、邪気を払う力を持つ。

 そんな彼女は、『恋愛栽培』では花川加奈子の危機を救ったのだが、当然アスターティ・フォーチュンや松永緋奈とは知り合いである。人間時代は家族との関係が不幸だったブライティは、師匠である呂尚や他の精霊/仙人たちとの出会いによって、新たな「家族」を得たと言える。そんな彼女はもしかすると、第二部のヒルダ・マーズの前世かもしれない。この二人の共通点はいくつかある。一つは、実の家族との関係に恵まれなかった事であり、もう一つは、アスターティを実の姉のように慕っている点である。

 ブライティ自体は第一部のみに登場するキャラクターだが、前述の通り、第二部以降のヒルダ・マーズが彼女に相当する立場のキャラクターとして登場する。第一部のアガルタの精霊たちの多くは、惑星アヴァロンやその他至るところで新たに人間として(あるいは他の何者かとして)生まれ変わっているのだ。やはり「スターシステム」とは便利なものである。これでキャラクタードールの使い回しが出来るのね。とはいえ、全てのキャラクターをドール化するのは実質的に不可能なのだから、あとはイラストなどでキャラクターの姿形を示すのだ。


 11月20日生まれ。身長155cm。好物はフィッシュ&チップス、カリーヴルスト、ケチャップをたっぷりかけたホットドッグ、ベイクドチーズケーキ。サッカー観戦が好きで、テレビで色々と試合を観ている。日本のサッカーチームで好きなのはコンサドーレ札幌で、ひいきの選手がいる。他にはバスケットボールが好きだが、野球には特に興味はない。

 犬好きであり、人間時代は愛犬ギャヴィンをかわいがっていたが、自身と共に焼死してしまった。彼女は『恋愛栽培』の蓮華院秀虎・加奈子夫妻の愛犬「ジョン太郎」と愛猫「トム次郎」の名付け親である。ブライティは『恋愛栽培』本編が終わった後も、呂尚や果心らと共に蓮華院家との交友関係を続けていた。

 普段は10代半ばくらいの姿形だが、普通の人間を装うために持っているパスポートなどでは成人済みという事になっている場合がある(呂尚の「孫」という立場になっている場合はこの限りではない)。まあ、アガルタの精霊になった時点で、実年齢など関係ない立場になったのだが、キャラクターイメージは10代の女の子である。後述の通り、アガルタの精霊としての彼女はミュージカル『キャッツ』に登場する猫たちを思わせる容姿だが、普通の人間の姿でいる時は金髪碧眼の女の子である。


 人形はセキグチモモコドールヘッドのカスタムに、ボークス25cmボディのカスタム(膝から下をNEOボディのと取り替えた)。素体とヘッドにモデリングペーストを盛り付けて彩色している。彼女のこの姿の元ネタは、ミュージカル『キャッツ』に登場する猫たちである。ブライティ自身は「猫娘」ではないが、それでも瞳孔が猫のようになっている。普通の人間の姿でいる時は金髪碧眼だが、精霊としての姿は真っ赤な虹彩が鋭く光る。

 私はいわゆる猫耳のついたお人形を作りたいが、その応用としてウマ娘の人形も作りたい。しかし、この場合、尻尾をどうするかという問題がある。それはさておき、私は『ファイブスター物語』のエルディアイ・ツバンツヒの人形を作りたいのだが、以前、某女性お笑い芸人さんの人形を作ろうとして頓挫した事がある。ドールヘッドに植毛した髪色が、実際の本人の髪色とはかけ離れていた上に、本人がすでに過去の人になっていたので、断念してしまったのだ。

 まあ、他作品のファンアート・二次創作の人形よりも、自作小説の登場人物たちのドール化を優先したい。特に男性キャラクタードールだが、そちらは単なる美少年・美青年だけでは、物語の登場人物として不十分である。様々な年齢や体型などのキャラクターたちを作っていきたい。もちろん、それは女性キャラクターたちにも言える。


No.35/f.25 松永緋奈(Hina Astarte Matsunaga "The Killer Queen")

『Avaloncity Stories』のもう一人のメインヒロイン。いわば「もう一人のアスターティ・フォーチュン」であり、第一部から第三部まで登場する「女神」である。

 ①「初代」松永緋奈 まつなが ひな …「海の娘」。果心居士と松永久秀という二人の男たちに愛される。死後、光と水の精霊に生まれ変わり、不老不死の身となり、果心と行動を共にする。「ティアマット」の一人。

 ②「二代目」ヒナ・アスターティ・マツナガ(Hina Astarte Matsunaga)…初代と同一人物。果心の永遠のパートナー。アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォースタス・フォーチュンの母。一時期は若き日のフォースタス・マツナガを色々な意味で導いた。

 ③「三代目」松永緋奈 まつなが ひな …可憐な美貌の女剣士。果心の妻。初代とも二代目とも同一人物。怪力と電撃を用いる不老不死の者。〈聖なる星〉の神々から受け継がれた属鏤 しょくる の剣の持ち主。

 

 5月1日生まれ(ただし、フォースタス・マツナガ博士の恋人ヒナ・アスターティ・マツナガとしては、アスターティ・フォーチュンと同じ7月7日生まれである)。身長163cm(戦国時代の日本人女性としては長身である)。好物はチキンスープカレー、五目ちらし寿司、シーザーサラダ、ティラミス。白い百合の花と真っ赤なリンゴがシンボル。艶やかな黒髪と透き通るような白い肌の、可憐かつ聡明で毅然とした美女である。

 可憐な美貌と超人的な戦闘能力を合わせ持つゆえに、アガルタの精霊たちからは〈キラー・クイーン〉という愛称で呼ばれる。彼女は多くの人々の心を射抜くのだ。あの堅物の伍子胥も彼女に一目惚れしてしまうが、それは緋奈個人の魅力だけのせいではなく、たまたま彼女が子胥の亡き妻と瓜二つだったからでもある。しかし、さすがに子胥は、自身の一族が暗君の略奪愛によってズタズタにされただけあり、自身が略奪愛の当事者になるのは、彼自身のプライドが許せないのだ。

 

 人形はアスターティと同じくオビツの27cm女性用02ヘッドを使用しているが、彼女はボディもオビツ製(ノーマルボディ)である。その黒目黒髪に色白の肌という可憐な容姿には、『ファイブスター物語』のメル・リンスや『マルドゥック・スクランブル』のルーン・バロットのイメージが入っているが、超人的な戦闘能力があるのも彼女たちと同様だ。

 果心がフォースタス・チャオと同じく優柔不断な面があるのに対して、緋奈は決断力がある方だ。いざという時に非情になれるのは、果心ではなく緋奈である。伍子胥はそんな彼女の資質を見込んで属鏤の剣を授けたが、それは彼だけでなく、商鞅や久秀の意思でもあり、彼らも時々この剣を借りて使う。

 

 死後、アガルタの「光と水の」精霊として生まれ変わった彼女には様々な能力がある。20代前半の若さを保っており、怪我をしても無傷に再生する事が出来る(身体の再生能力は、もちろん果心にもある)。彼女はその延長として、唇や目の周りや爪などの色を自由自在に変えられる(夏は一瞬で小麦色の肌に変えたりする)。彼女も初代アスターティも、この能力がある上に常に肌の状態が良いので、化粧品を必要としない。実に羨ましい能力である。

 さらに、生前(生まれ変わる前)とは比べ物にならないくらいの戦闘能力を持っている。ハッキリ言って、果心より強い。結構怪力だ。緋奈は電撃で敵を攻撃する。動きもかなりすばやいので、彼女の攻撃を避けるのは極めて難しい。

 彼女は手を使わなくても髪を結う事が出来る。髪の毛を生き物のように自由自在に操れるので、そのような芸当が可能だ。さらに、この髪も武器や防具になる。

 髪や肌の状態だけでなく、体臭のコントロールも自在に出来る。普段の彼女は百合の香りを漂わせている(これもまた、初代アスターティも持つ能力だ)。蓮華院家の子供たちの世話をする時は、バニラなどのお菓子系の香りを漂わせる事が多い(その影響で加奈子はお菓子系の香りのコロンを愛用する)。

 

 彼女は果心との交わりによって石の卵を産む。『恋愛栽培』で悪役として登場して死んだ浜凛華は、それで無垢な娘として生まれ変わる。一応は『Avaloncity Stories』とは別枠の話である『Babelcity Explode』のヒロインコンビ、松永りりこと織田こずえは、果心と緋奈の娘たちである。さらに、アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォースタス・フォーチュンは果心と緋奈の息子だが、彼は卵ではなく普通の赤ん坊として生み出された。

 緋奈は動植物に新たな命を与えて精霊にする事が出来る。黒猫の黒蜜・黒月姉妹も緋奈が生み出した精霊である。


No.36/f.26 松永緋月(Hidzuki Matsunaga)

『Avaloncity Stories』第一部の松永久秀の愛妾。「翡翠丸」こと松永久毅 ひさたけ(日本画家松永少伯こと松永舜太郎の先祖)の母。緋奈の親友/義妹。義姉緋奈と共に〈アガルタ〉の精霊として活躍する。実は緋奈と同じく〈海の娘〉であり、それを知る久秀に迎えられた。それゆえ「緋月 ひづき」と名付けられた(ちなみに緋奈の名付け親は果心である)。彼女は緋奈と初めて会った時から意気投合する。

 生前の彼女は「鬼谷先生」こと范蠡 はん れいとの密約により、久秀に殉死した。そして、緋奈より先にアガルタの精霊に生まれ変わり、琉球で果心に看取られて天寿を全うした緋奈を迎える。そんな彼女たちは、現代まで修行の旅を続ける。それは、これから「終わりの始まり」を迎えつつある地球から〈しゅたね〉を新天地に移すために必要な試練である。ある者は彼女たちを「女神」「聖女」と呼び、また、ある者は彼女たちを「魔女」と呼ぶ。

 緋月は果心や緋奈とは違い、第一部のみの登場人物である。しかし、第二部以降に彼女の生まれ変わりかもしれない人物は何人かいるだろう。ゲイナー三姉妹の長女ジェラルディン・ゲイナーは、もしかすると緋月の生まれ変わりかもしれない。かつての〈アガルタ〉の精霊たちの多くは、地球から新天地に旅立ち、様々な者たちに生まれ変わったのだろう。


 5月3日生まれ。身長158cm。好物はビーフカレー、筑前煮、キムチ鍋、シュークリーム。基本的に温厚な性格だが、いざという時は義姉 あね緋奈以上に冷徹に動ける。その辺は良くも悪くも久秀に似ているのだろう。現代人としての彼女はある短大を卒業し、『恋愛栽培』の蓮華院秀虎・加奈子夫妻が住む街にある保育園で保育士の仕事をしている。緋奈も彼女と同じく短大を卒業し、保育士の仕事をしていたが、蓮華院家のベビーシッターとして雇われたのを機に保育園を退職した。

「私は姉さんほど情け深くはありません」

 緋奈は光と水を武器にするが、緋月は風と空気・気体を武器にする。彼女は風圧でかまいたちを起こし、敵を刻み尽くす。さらに、空気中の二酸化炭素から炭素を抜き出し、ダイヤモンドの礫にして敵に発射して射抜く。彼女はサディスティックな性格ではないが、敵に対する果敢さは緋奈以上かもしれない。

 彼女は果心と緋奈を通じて蘇った〈彼〉について行く。それから数百年後、〈彼〉は超巨大宇宙移民船アヴァロン号で果心と緋奈を迎え、自らの力と意志を、そしてフォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンの魂を彼らに託していく。緋月は他の仲間たちと共に〈彼〉について行き、地球を去る。果心と緋奈は〈アガルタ〉の総長シャマシュ公と共にアヴァロン号で地球人の末裔たちを導き、新天地にたどり着く。それが緑の星アヴァロンである。


 人形は緋奈と同じく、オビツ27cm女性用02ヘッドとノーマルボディを組み合わせている。緋奈とは元々赤の他人同士だが、実の姉妹のようにそっくりである(彼女たちは東アジア系の〈海の娘〉としては平均的な容姿らしい)。しかし、義姉緋奈と比べると、どことなく怖い顔つきに見える。もちろん、意図的にそうしたのではないが、底知れぬものを抱えた雰囲気を感じさせる。

 緋奈と同じく、長く真っ直ぐな黒髪の日本人女性設定のキャラクタードールなので、和装コーディネートの写真のモデル要員である。他にも何人か「和風のお姫様」らしいキャラクターを作ろうかと思ったが、まずは自作小説の内容を優先したい。そうすると、第三部の蓬莱 ホウライ人設定のキャラクタードールを作ろうかな…? それよりも、男性キャラクターを優先した方が良いな。

 緋奈が鮮やかな赤い唇なのに対して、緋月の唇は淡いピンクなので、着せ替え人形としての汎用性が高いかもしれない。とはいえ、緋奈と同様、古典的なお姫様らしい長い黒髪なので、現代的かつカジュアルなコーディネートは難しいかもしれない。


No.39/f.27. 花川加奈子(Kanako Hanakawa)

『Avaloncity Stories』第一部に含まれる小説『恋愛栽培』のヒロイン。23歳。関東某県某市(埼玉県川越市の可能性はあるが、確証はない)の不動産屋の事務員として働くアマチュア小説家。蘇った戦国武将、蓮華院秀虎 れんげいん ひでとらと結ばれ、未来の宇宙移民船〈アヴァロン〉号並びに植民惑星〈アヴァロン〉に渡る子孫を残す。結婚後の名前は蓮華院加奈子。『Avaloncity Stories』の女性キャラクターとしては極めて「普通の人」だが、第一部と第二部の架け橋となる重要人物でもある。

 加奈子は作家としてプロデビューし、秀虎との間に息子・虎之介(後に工学博士)と娘・奈々(後に医学博士、小児科医)が生まれる。この一家こそが、第一部と第二部との架け橋となる上に、第三部にまで生き延びる家系になるが、さすがに加奈子自身は自らの立場の重要性を知らない。彼女はあくまでも普通の人間であり、果心ら〈アガルタ〉の精霊(仙人)たちではないのだ。

 彼女は子供の頃から果心居士と松永緋奈に見守られていた。果心と緋奈はたびたび彼女の危機を救ったが、加奈子は彼らと再会するまではほとんど忘れていた。果心らが彼女の記憶を消す術を使っていたのかもしれないが、『恋愛栽培』以降の果心と緋奈は、加奈子と秀虎に〈アガルタ〉の計画を伝えている。しかし、それは人類の外宇宙進出計画が明るみに出るまでは、蓮華院家の者たちはそれを公言しない。それはもう数百年の年月を必要とする大計画なのだ。


 加奈子は私、明智紫苑と同じく12月10日生まれである(他にはヒルダ・マーズもそうだ)。身長152cmで、人形の素体をそれに合わせたものにしている。好物は豚汁、チキン南蛮、ごぼうサラダ、ハーゲンダッツのクッキー&クリーム。趣味は読書とドールカスタマイズ。それで、自作小説のキャラクタードールを作っているのだ。好きなミュージシャンはBONNIE PINK、レディー・ガガ、山下達郎、藤井風、坂本冬美など。音楽を聴く趣味嗜好は「広く浅く」であり、クラシック音楽やジャズも多少は聴く。

 加奈子が主人公の小説『恋愛栽培』にもあるように、彼女は小学校時代に母親を、高校卒業直前(しかも、大学入試に合格した直後)に父親を亡くして、大学在学中に祖父を、就職してからすぐに祖母を亡くしたので、この一軒家は加奈子のものになった。すでに父親の代で家のローン返済は終わっていた(加奈子の学費を払えるだけの遺産はあった)ので、幸いその辺の経済的負担はなかった。

 彼女の小学校入学前からの幼馴染である不動涼子 ふどう りょうこ樽川若菜 たるかわ わかなは、彼女にとっての関羽と張飛である。おそらく、浜凛華 はま りんかは自分のクラスメイトだった彼女たちの篤い友情に対して、少なからぬ嫉妬心があっただろう。彼女たちの友情は最晩年まで続くが、涼子と厚田恭介 あつた きょうすけの娘が加奈子と秀虎の息子虎之介と結婚し、第二部以降の蓮華院家につながって行く(ちなみに恭介は、不動家の婿養子になる)。


 人形はジェニーヘッドの再塗装にオビツ25cmボディ使用。こんな事を言うのは失礼だが、リカちゃんやジェニーやモモコドールのヘッドは、顔の塗装をマニキュア除光液などで拭き取ってのっぺらぼうにしてしまうと、そんなに美形ではない。だから、加奈子のような普通の女の子を作るのに向いている。逆に言えば、私が好んで使うオビツ27cm女性型02ヘッドのような美形の造形のドールヘッドは、加奈子のような「普通の女の子」という設定のキャラクターを作るのには向いていないのだ。

 多少小柄ではあるが、加奈子は「アヴァロンシティ・ドールズ」では珍しい「普通の女の子」なので、現実的なコーディネートが似合うだろう。逆に言えば、ファンタジー的な世界観に基づくような格好は似合わないだろう(せいぜい「村人A」くらいの役回りか?)。小柄である分、服のサイズの制限はあるが、モモコドールなどのリアルクローズ系のドール服が似合うと思う。


No.40/f.28 浜凛華(Rinka Hama)

 小説『恋愛栽培』のヒロインである花川加奈子の敵となった女性。すなわち、『Avaloncity Stories』第一部の登場人物である。悲惨な少女時代を過ごして転落した彼女は、かつて自分がいじめていた元クラスメイト加奈子を逆恨みし、怪しい人脈を使って彼女を陥れようとするが、最後は蓮華院秀虎の振るう属鏤 しょくるの剣に悪霊を斬り裂かれて四散した。〈アガルタ〉の精霊/仙人である果心居士は、彼女から「悪の女神」タキアの気配を感じていたようだ。

 しかし、彼女の魂は数百年後に果心と松永緋奈の娘(すなわち、アーサー・フォーチュンや松永りりこらの姉)として生まれ変わり、前世では得られなかった幸せを得る。新たに生まれ変わった凛華には「悪の女神」の影はない。そして、果心と緋奈が宇宙移民船〈アヴァロン〉号と共に地球を去ってからも、彼女は伍子胥や孫武、さらには恋人ケンと共に地球に留まり、世界を見守る。

 地球人類滅亡後の未来(約5000万年後)、彼女は新たな精霊となって、緑の星地球の中に溶け込んでいた。かつての人類を導いた神々と精霊たちの集団〈アガルタ〉はすでにない。残された彼女たちは新たなしゅに魂を吹き込み、それらはさらに未来の知的生命体となっていくだろう。


 6月26日生まれ。身長165cm。好物はトンカツ、うな丼、焼肉、ビール。ちなみに彼女は『Avaloncity Stories』の登場人物としては珍しい愛煙家である。少なくとも、『恋愛栽培』の時点では、愛煙家でないと違和感があるキャラクターだ。彼女は子供の頃から苦労を強いられ、非行少女となった。母親の再婚相手やその他の男たちからたびたび性的虐待を受け、売春や違法薬物に染まり、ホストとの短い結婚生活によってシングルマザーになった挙げ句、生ける悪霊と化してこの世から消えた。しかし、残された娘はある資産家の養女になった。

 その問題の娘浜凛蘭 はま りんらんは、彼女が祖母に虐待されているところを覗き見した果心の児童相談所への通報によって養護施設に保護されたが、後に海外の資産家夫婦に引き取られ、その家の養女になった。彼女は改名し、自分の母親や祖母などの記憶を忘れ、健やかに育っていった。〈アガルタ〉の者たちは彼女に対しては「悪霊」の影を見出さず、そのまま放っておいた。新たな名前と身分を得た娘は、この世の地獄から抜け出して幸せな人生を歩んだだろう。

 今時の女の子ではすっかり少数派になってしまった黒ギャルの凛華嬢だが、単なる「悪役ギャル」のままにしておくのが惜しいキャラクターなので、果心と緋奈によって新たな生を得る事にした。やはり、ドール化すると情が移るのね。当然、生まれ変わった凛華は前世とは違って善良そのものである(ついでにタバコを吸わなくなっている)。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとスーパーアクションジェニー素体を組み合わせたが、日焼け肌色のヘッドは限定の希少品である。それに合わせて、素体を樹脂用染料で染めた。日本のドール界では日焼け肌の子が不遇なのね。しかも、基本となる肌色の名称が「ノーマル」だの「ナチュラル」だのは、明らかに偏っている。せめて「ミディアム」という名称にした方が良いと思う。いや、「ミディアム」でも不十分かもしれない。

 ペットワークス『六分の一男子図鑑』の素体の基本的な肌色の名前が「アイボリーベージュ」なのは、中立的で良い名称だと思う。このように、色白肌も日焼け肌(もしくは黒人系ドールの肌色)も、何とか良い名称を使ってもらいたいね。そもそも、日本のドール界は濃い肌色のお人形に対して冷遇していると思うのだが、肝心のドールファン自体が「黒ギャル」的なキャラクターを好まない人が多いか…。

 まあ、ドールファンは色々な意味で「ギャル系」とはかけ離れた人が多そうだし、ギャル系ドールの需要自体がほとんどないのだろう。アメリカには白人貧困層(日本のネットスラングで言う「DQN」な人たち)をモチーフにした「トレーラー・トラッシュ・ドール」というブラックジョーク的な着せ替え人形があるのだが、あのようなお人形の商品化は日本では十中八九あり得ないだろう。だからこそ、カスタムドールとして、そのようなキャラクターを作る余地はあるのだ。


No.41/f.29 ネミッサ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway)

 とりあえず、『Avaloncity Stories』には少なくとも二人は同名の人物たちがいるが、彼女(たち)も「スターシステム」で色々な人物像を演じる可能性はある。それは当然、他のキャラクターたちも同じである。

①ネミッサ・ブランシュ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway / Nemissa Fortune)…『Avaloncity Stories』第二部におけるアスターティ・フォーチュンと同い年のファッションモデル。「ネミ」という芸名で芸能活動をしている。黒髪、色白の肌に涼しげな紫の目で中性的な雰囲気の美少女。超人気歌手である「ロクシー」ことロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンドと同じ事務所に所属しており、ロクシーはアスターティだけでなく彼女に対しても反感を抱く。『Fortune』でも描かれている通り、ネミもアスターティと同じく人造人間〈バール(baal)〉であり、天然の人間とバールとの再融合を果たす〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉で人工授精でフォースタス・チャオの息子アーサー・ハラウェイ・フォーチュンを産む。

 後にフォーチュン姓を名乗るが、彼女と息子アーサーの系譜が第三部のウェイランド・フォーチュン家につながる。彼女が生涯独身で、なおかつ人工授精で子供を産んだのは、彼女が無性愛者だからである。まあ、〈ソロモン・プロジェクト〉で生まれた子供たちは人工授精で生まれた子の方が多いのだが、フォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンのようなカップルから生まれた子供たちも少なくない。

②ネミッサ・フォーチュン(Nemissa Fortune)…謎の魔法戦士。こちらも愛称は「ネミ」。アヴァロン帝国の〈東方十二諸侯〉の一つウェイランドの当主ウェイランド・フォーチュン家の娘。すなわち、第二部のネミの子孫にして生まれ変わりである。魔法戦士としての彼女は大きな鍵状の棒を武器にする。実際に何かの鍵らしいが、詳細不明。もちろん、剣などの普通の武器も使う。

 第三部のアスターティ・フォーチュンが主人公の小説『Astarte ―FORTUNA IMPERATRIX MUNDI―』で、アスターティやヒルダ・マーズと出会って共に旅をするが、彼女たちは第二部のそれぞれと同名の女性たちと同様、篤い友情で結びつく。


 11月9日生まれ。身長165cm。好物は梅おにぎり、BLTサンド、生春巻き、寒天を使ったコーヒーゼリー。無性愛者ではあってもヴィーガンではないのね。趣味は水族館巡りで、クラゲやウミウシを好む。〈アガルタ〉で作られたバールであるネミは、ある外界の家庭に里親として迎えられ、育てられた。彼女は幼少期からモデルの仕事をしており、アスターティと同じく「普通の人間」同様に育てられた。

 しかし、〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉によって一般人社会に送り出されたバールたちは、実は少なからず存在しており、世間の人々が想像するよりも一般人社会に浸透していた。アヴァロン連邦歴100年代のバールたちは、主にプロアスリートとしての活躍が目立っていたが、アスターティやネミらの時代には「普通の人」として生きているバールたちは少なからず存在していた。そんな彼らこそが天然の人間たちと再融合し、「新人類」の祖先となっていくのだ。

 モデルは岡崎京子氏の漫画『リバーズ・エッジ』並びに『ヘルタースケルター』のサブヒロイン「吉川こずえ」だが、そのこずえとの共通点を減らすために、ネミは無性愛者という設定になっている(こずえはレズビアンという設定になっている)。しかし、言うまでもなく最大の理由は、フォースタスとアスターティの関係を脅かさないようにするためである。そして、仮に乙女ゲーム的な展開の話を書くならば、彼女たちとは別のヒロインキャラクターを創造して書くつもりである。


 人形は、『ファウストの聖杯』終盤あたりの時期である20歳の姿を想定しており、ボークスCヘッドとセキグチmomokoボディを組み合わせた。「中性的な美少女」だったハズが、予想外に女性的な雰囲気になってしまった。まあ、化粧次第で雰囲気は変わるよね。髪の毛は元々植毛されていたドールヘアを抜いて、黒いドールヘアを再植毛した。髪のセットにはドール用ヘアワックスが欠かせない。

 この子は「アヴァロンシティ・ドールズ」には珍しく、着せ替え人形としての汎用性というか可能性が高いと思う。そもそも、日本のファッションドールの代表格の一つであるモモコドールの素体を使っているので、着せ替え人形としての使い勝手が良いのは当然かもしれない。


No.42/f.30 松永りりこ(Ririko Matsunaga "Lilith Pandora")

 私のオリジナルキャラクタードールたちの総称は「Avaloncity Dolls」だが、この松永りりこは厳密に言えば「アヴァロンシティ」の住人ではない。彼女はフォースタス・チャオらがいるアヴァロンとは別の植民惑星〈ディルムン〉を股にかける凄腕の賞金稼ぎである。自己再生能力を持つ上に「いくつになるか忘れた」不老不死の彼女はどこまでも旅する。その最終目標は何か?

 実はりりこは、果心居士と松永緋奈の娘であり、第一部の終盤で緋奈が果心の息子〈因心居士〉こと韓業に託した赤い石の卵から生まれた。そんな彼女は『Avaloncity Stories』第二部外伝『Babelcity Explode』の主人公である。放浪の旅を続ける彼女は、エアハウス(要塞的な機能を持つ飛行住宅)〈タイガーリリー〉号に乗って、惑星ディルムンを旅する。彼女は、恐るべき超階級社会である〈バベルシティ〉にたどり着き、仲間たちと共に都市内の巨悪と戦う事になる。

 りりこはバベルシティにたどり着く前から歴戦の勇士だったが、この恐るべき〈バビロン〉に潜む魑魅魍魎たち相手に苦戦する。それは、りりこの養父韓業にも手出しが出来ないほどの「魔窟」だった。超格差社会によって苦しめられる弱者たち。街の地下世界での〈モードギャング〉同士の抗争。それは、他の地域での一連の戦争とつながっていた。

 彼女は他の賞金稼ぎたちと共に、地下エリアにあるコロシアムへの参戦や、「義賊」的な便利屋集団〈ステイゴールド〉への協力などを経て、この世界がなぜ「歪んだ」のかを知る。ダンテの『神曲』で描かれている地獄を思わせるような地下世界で、彼女が見たものは何だったのか?


 11月17日生まれ。身長168cm。その黄色い髪と赤と青のオッドアイという姿は、今はなきゲーム機ドリームキャスト用のシミュレーションゲーム『戦国TURB』のヒロイン「じのちゃん」が元ネタだが、私は実際にはそのゲームをプレイしていない。このゲームは発売当時、結構話題になっていたのが印象的だったので、ヒロインの容姿の要素がりりこに入ったのだ。

 ライバル(実は果心と緋奈から生み出された他の石の卵から生まれた妹)の織田こずえと同じく、名前の由来は岡崎京子氏の名作漫画『ヘルタースケルター』に登場する人物、すなわちヒロインの〈りりこ〉である。つまりは、彼女たちは第二部本編のネミッサ・ハラウェイ・フォーチュンの「姉妹」なのだ。しかし、こずえはりりこに対しては特にライバル意識を抱いていないようだ。要するに、ほぼ無関心なのね。

 好物はモツ鍋、担々麺、焼き芋、ざるそば、焼きうどん、諸々の山菜&ジビエ料理。自分で狩りをするし、獲物をさばいて料理する。味噌などを手作りするし、他にも色々と器用さを見せる。彼女は猟の獲物を各地の者たちと物々交換して暮らしている。彼女が子供の頃から自分の世話をしてくれたガイノイド〈ヒサメ〉のメンテナンスをするなど、機械いじりも得意だ。そんなりりこは、両親譲りの常人離れした戦闘能力を駆使して、バベルシティの「巨悪」たちに喧嘩を挑む。


 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとボークスNEO-EBを組み合わせている。髪はボークスの黄色いドールヘアを樹脂用染料でオレンジ色に染めたつもりだったが、染まりきらずに微妙な山吹色になった。しかし、これで良かったと、我ながら思う。ちなみに、りりこの髪と目の色は生まれつきのものだが、その容姿ゆえにガイノイド(女性型アンドロイドで、別名は「フェムドール」)と間違われる事が少なくない。しかし、彼女と接した人間はすぐに、彼女がガイノイドではないと気づく。いずれにせよ、普通の人ではないのだが。

 実写化するなら、「りりこ」つながりで沢尻エリカさんがいいな…と思ったが、沢尻さん自身が猛烈に嫌がりそうだ(笑)。というか、当人が不祥事を起こして事実上引退してしまったので、不可能である。りりこは前述の通り『戦国TURB』のヒロイン「じのちゃん」の容姿をモデルにして作ったお人形だが、実年齢の設定より若い容姿という点は共通している(彼女は最低でも600年ほど生きている)。りりこの頬に描かれているピンクのハート模様は、タトゥーシールを貼ってあるという設定である。

 りりこは『Avaloncity Stories』本編における果心や緋奈や范蠡などと同じく、孤児たちを育てては自立させていった。惑星ディルムンには、そんな彼女の「子供たち」があちこちに存在する。彼らは「母」りりこの危機を救うために、バベルシティを目指す。植民惑星に蘇った〈魔都バビロン〉の圧政を覆すため、ディルムンの人民たちは蜂起するのだ。