ゲイリー・ハーマン『ロックンロール・バビロン』

 オルフェーヴル「ディープ先輩、次のネタを見つけましたよ」

 ディープインパクト「その本、明智紫苑さんが『カビて捨てたからアマゾンで買い直さなきゃ』と焦っていたね」 

 オルフェ「場所が場所だけに、灯台もと暗しだったけど…とりあえず、無事に見つかったので、紫苑に再読させます」

 ディープ「まあ、これは明らかに『不適切万冊』ネタだね。少なくとも、紫苑さんはnetkeibaで出入り禁止処分扱いされてしまうよ」

 オルフェ「それはさておき、今回紹介する本は、ゲイリー・ハーマンさんというお方の『ロックンロール・バビロン』(白夜書房)ですが、初版は1988年というかなり古い本です。ハッキリ言ってボロボロですよ」

 ディープ「紫苑さんは80年代は、ダイヤモンド社の雑誌『FMステーション』を読みながら、洋楽も邦楽も聴いていたのだね」

 オルフェ「あいつ、洋楽だけのファンと邦楽だけのファン双方に対する優越感目当てで、洋邦ジャンル問わず色々な音楽を聴いていたのですけど、そんなあいつにちょうど良い『音楽雑誌』が『FMステーション』だったんですね」

 ディープ「ハウサー(注.今はなき『ビックリハウス』誌の読者)になるには生まれるのが遅かった紫苑さんは、高校時代は学校の近くにある古本屋で昔の歴史雑誌や音楽雑誌を漁っていたんだね」

 オルフェ「中学時代に『ビックリハウス』最終号を買いそこねた、そんななんちゃってサブカル女子の明智紫苑が購入したのが、当記事で取り上げる『ロックンロール・バビロン』ですけど、色々と丸見えです。オネエチャンたちのおっぱいがペロンペロンですし、モロ出しの男性ミュージシャンたちもいます。絶景ですよ!」

 ディープ「オルちゃん、こういう時の君はやっぱりノリノリだね」

 オルフェ「いや、俺たちは清純派三冠馬ですよ」

 ディープ「…うん、まあ、20世紀は戦争とロックの時代だね。疾風怒濤 シュトゥルム・ウント・ドラング という言葉がぴったりだよ」

 オルフェ「そう、まるで嵐のような悲劇が、ロック・ミュージックの世界を彩るのですね。ロック・ミュージックは黒人音楽が基礎 ベースになっていますが、その黒人ミュージシャンたちの悲劇もちゃんと描かれています」

 ディープ「サム・クックさんはイケメンだね」

 オルフェ「さらに、サルバドール・ダリさんの愛人だったアマンダ・リアさんなんて人もいますが、この本ではダリさんとの関係には触れていませんね」

 ディープ「オジー・オズボーンさんのお舅さん(ドン・アーデン氏)も出てくるのか」

 オルフェ「これらロック・ミュージック史を題材にした小説を書きたくても、残念ながら『小説家になろう』の規定では、実名で著名人たちを主人公として描くような作品は受け付けていないようですね」

 ディープ「エリック・クラプトンさんとジョージ・ハリスンさんの関係性は、未来の歴史小説家にとってはかなりの『お宝』だね。パティ・ボイドさんは最終的に二人とも別れて、残った二人は親友同士に戻った。何だか、アーサー王ランスロット卿みたいだね」

 オルフェ「張耳さんと陳余さんはあの二人の鼻くそを煎じて飲むべきです」

 ディープ「オルちゃん、それを言うなら『爪の垢』でしょ?」

 オルフェ「まあ、違法薬物よりは鼻くその方がまだマシでしょう。様々な違法薬物のせいで、若き才能たちがつぶされた歴史です。ロック・ミュージック誕生以前の時代でも、戦国四君の信陵君が晩年失脚してアルコール依存症で体を壊して亡くなったのは、まさに戦国時代のロック・スターです」

 ディープ「なるほど、ロック・スターか…。クラシック音楽ファンを公言している宮城谷昌光さんよりも、『達人伝』王欣太 きんぐ ごんた さんの方がよっぽど信陵君ら戦国四君の『ロック魂』を描いているね」

 オルフェ「今は亡き中国文学者の井波律子先生はザ・バンドのファンだったそうですね。確かに、井波さんと宮城谷さんはそれぞれの『ロマンティシズム』の方向性が全く違いますが、俺は井波先生のロマンティシズムに対して共感します。『破壊の女神』とか、『裏切り者の中国史』なんて、まさにそうです。それはさておき、俺、個人的には日本ロック界版のこういう本も読みたいですけど、やはり現在の日本の音楽業界だと難しいですかね?」

 ディープ「宝島社から出ていた『音楽誌が書かないJポップ批評』は帯に長しタスキに短しだし」

 オルフェ「ふんどしにならちょうど良いですかね?」

 ディープ「そんな『音楽誌が書かないJポップ批評』を見放した明智紫苑さんが新たに見つけたのが、いくつかのドールカスタマイズの本や雑誌だったのだけど、そのうち『不定期万冊』で取り上げよう」

【The Band - The Last Waltz Suite: Out of the Blue】