【Evanescence - Use My Voice】
アメリカのバンド、エヴァネッセンスのオリジナルメンバーは現在、リーダーでヴォーカリストのエイミー・リー氏しかいない。そして、2015年から新たにギタリストとしてもう一人の女性メンバーが加入している。
私は、エイミーさんが新たに自分以外の女性メンバーを迎えていたのには驚いた。サブリーダーのベン・ムーディー氏を追い出し、さらには元カレや元メンバーを嘲る歌詞の楽曲を書いて発表するような「女王様」が、まさか自分以外の女性ミュージシャンを自分のバンドに迎えるとは、実に仰天の事態だった。
エイミーさんはちょっと昔のある雑誌のインタビューで、「将来、女性ミュージシャンだけのバンドを結成したい」と発言していた。私はその記事を読んで「はいはい。政治的発言、政治的発言」と冷ややかな感想を抱いた。しかし、インターネット上での一般人女性のフェミニスト化が目立つようになった今のご時世からして、エイミーさんのこの発言は案外「ガチ」だったのかもしれないと、私は思い直した。
しかし、エヴァネッセンスの新たなギタリストが女性だったのは単なる偶然なのか、それとも何らかの意図があったのだろうか? そのエヴァネッセンスに対応する日本のバンドとして、東京事変は存在する。両バンドの音楽ジャンルは異なるが、強力な女性ミュージシャンをリーダーにしている点は同じである。
【東京事変 - アイスクリームの歌】
この動画は、ライヴでの椎名林檎氏の衣装の着替え中に他のメンバーたちが披露した歌である。エヴァネッセンスが他の女性ミュージシャンをメンバーに迎えてもなお、エイミー・リー氏のワンマンバンドという印象が強いのに対して、東京事変は決して椎名さんのワンマンバンドではない。元々は「ミュージシャンとしての椎名林檎の延命装置」として結成されたバンドのようだが、結果論的に椎名林檎というソロミュージシャンの存在自体が「東京事変」という稀代のスーパーバンドのために出現したような印象がある。
上に挙げたユーチューブ動画からも感じられる通り、東京事変というバンドは男性メンバーたちの存在が大きな魅力となっている。椎名さんは、他のメンバーたちの能力や存在感を最大限に発揮させて売り出している。まさしく「かけがえのない男たち」である。それで私は思った。
エヴァネッセンスの男性メンバーたちは、東京事変の男性メンバーたちとは違って、「女王」エイミー・リーの思惑次第でいくらでも「かけがえがある」のだ。それ相応の優れた能力と協調性さえあれば、ミュージシャンはエヴァネッセンスのメンバーとして選ばれる可能性がある。だからこそ、女性ギタリストのジェン・マジューラ氏は新メンバーとして抜擢されたのだ。そう、残念ながらエヴァネッセンスの男性メンバーたちは、東京事変の男性メンバーたちほどの存在感を認められていない。かつてのサブリーダーであるベン・ムーディーに比肩する男性メンバーは、第三者目線から見ればいないのだ。
まあ、だからこそ、あの二人は決別したのだろうが。両雄並び立たずとは言うし。
【宇多田ヒカル - Automatic】
椎名林檎氏とエイミー・リー氏との接点といえば、この人。エイミーさんの歌声は当時のこの人にどことなく似ているし、この人自身は椎名さんの盟友で、共演経験もある。