赤ワイン、白ワイン

 私は高校時代、文芸部に所属していたが、その文芸部の部室によその高校の文芸部の機関誌がいくつか置いてあった。その中には色々な作品が載っていたが、私はある短編小説に書かれているフレーズが印象深く思えた。

 ストーリー自体は全く覚えていないが、その小説の女性キャラクターが男性主人公に「男の魅力は赤ワインで、女の魅力は白ワインなのよ」と言っていた。前者は「熟成」が求められ、後者は「新鮮さ」が求められるという事だ。

 もちろん、若い男性アイドルのような「白ワイン」的な若々しい魅力の男性もいれば(ただし、さすがにこの手の男性芸能人は、当人が歳を重ねるにつれて痛々しく見えてしまう)、成熟した大人の女性としての「赤ワイン」的な魅力の女性もいるが、世間一般の男性観・女性観は大体この女性キャラクターの台詞通りだろう。 

「赤ワイン」的な魅力の女性像を受け入れられる男性は、日本では少ない。たとえいても、マザコン的か、さもなくば、一部男性お笑い芸人みたいないかがわしい「熟女趣味」だったりする。日本では、大人の女の魅力を正当に評価出来る人は少ないが、そもそも「評価するに値する」大人の魅力を持つ人自体が男女共に少ない。


 日本人はロリコン・ショタコン的な美意識を持つ人が多いが、欧米では、それは少なくとも建前上は異端視されるようだ。しかし、欧米人が尊重する「大人の女」の魅力とは、ある程度の知的レベルの高さや色々な意味での「自立」を前提にしたもののようだ。他にも社会的地位の問題もある。結構ハードルが高いのね。


 ちなみに私は下戸である。そんな私は、昔働いていた会社で誕生日プレゼントとして赤ワインをもらったが、下戸の私は持て余した。試しに牛乳で割って飲んでみたらまずかった。うげぇ~!

 しかし、「ワインの牛乳割り」で検索してみると、ワインと牛乳を使った「ピーチ・レディ」というカクテルがあるのを見つけた。なるほど、やり方次第なのね。要するに私はアルコールの味自体が苦手なのだ。酔っ払って頭が痛くなるのもつらい。

【安全地帯  - ワインレッドの心】

 あるブロガーさん曰く「ある種の天才は自分の人格が自分の才能の奴隷になってしまっている」。泰葉氏や玉置浩二氏は、まさしくその「天才」の典型例だが、中国史の名将にもそういう人物がいる。言わずと知れた淮陰侯韓信だ。

 宮城谷昌光氏はなぜか、やたらめったらと韓信を嫌っているが、トマス・マロリーの『アーサー王の死』を読んでランスロットのダメ男ぶりを知ってしまうと「それじゃあ、仕方ないか」と思えてしまう。韓信とランスロットは、いわば「愚かなる梟雄たち」である。