ジェニーはご機嫌ななめ

 日本を代表する着せかえ人形といえば、タカラトミー社のリカちゃん人形だが、タカラトミーといえばもう一つ、忘れちゃいけないのが「ジェニー」だ。しかし、そのジェニーは、タカラトミーの商品としては一時期実質的に廃番になった。幸い、後に「ハッシュタグ」リカちゃんのフレンドドールとして復活したが、それまでは、リカちゃんキャッスルでないとマトモに買えなかった。古い商品を求めるならば、アマゾンや楽天市場、あるいはメルカリやラクマなどのフリマアプリやヤフオクなどのネットオークションサイト、さらには、まんだらけや駿河屋などの中古玩具買取販売店などに頼るしかない。もちろん、同じ事は他の廃番の着せ替え人形にも言える。

 ヤフー知恵袋に、「なんでジェニーちゃんはおもちゃコーナーから消えたんですか?」という質問があったが、とりあえず色々と大人の事情があったようだ。その一つに、大人のドールファンを対象に商品開発をしていった結果、ボークスやアゾンインターナショナルやオビツ製作所などのライバルメーカーが市場に参戦し、売れ行きが下がったというのがあるようだ。 

 そんなジェニーの最大のライバルは(皮肉な事に)同社のリカちゃんだが、他社ドールならば、おそらくはペットワークス並びにセキグチのモモコドールだろう。モモコは明らかに大人のドールファンを対象に商品開発されたものであり、アウトフィットもより上質なものである。成人のドールファンが集めるならば、リカちゃんやジェニーよりもファッションドールとして洗練されたモモコの方が「もっともらしい」と言える。女性だけでなく、オシャレな(非オタク系の)男性がコレクションしてもおかしくないタイプのファッションドールである。 


 ジェニーは元々は和製バービーだった。80年代当時のタカラ社がマテル社と業務提携して、日本国内の女の子たちの好みに合うように、リカちゃんと同様の少女漫画的な造形で売り出されたのがタカラ版バービーであり、後にタカラがマテル社との業務提携を解消してから「ジェニー」と改名して売り出された。日本において本家バービーが実質的に大人のドールファンを対象とするようになったのは、それ以降である。 

 そして、日本国内の「大人のドールファン」が増えたきっかけの一つがジェニーの存在だろう。いわゆる「オタク」が市民権を得るのに比例して、大人のドールファンも増えていったようだが、皮肉な事に、ジェニーの存在自体がライバル商品メーカーを勢いづかせるようになった。そんなジェニーの最大のライバルは、前述の通り、ペットワークス並びにセキグチのモモコドールであろう。


 モモコドールはさておき、タカラトミー版ジェニーは最終的に仕様変更がまずかった。最大の難点は、硬い材質で脚が曲がらない素体である。これには私もガッカリした。まあ、ボークスやオビツなどの素体に替えれば良いとは言えるが、そのボークスやオビツも、1/6ドール部門は以前ほどの勢いはない。ヤフー知恵袋でドールネタを探しても、1/6ドールではなく1/3サイズのキャストドールが主流派のようだ。1/6ドール専門の私にとっては実に寂しい事態である。

【やくしまるえつこ - ジェニーはご機嫌ななめ】

 昔のジューシィ・フルーツの曲のカバー。