Women & Girls 2

No.43/f.31 グロリアーナ・デ・コンポステーラ(Gloriama de Compostela)

 『Avaloncity Stories』第二部のベテラン舞台女優にして名司会者。要するに、アヴァロンシティにおける黒柳徹子氏的な存在である。愛称は〈マダム・コンピー(Madame Compee)〉。ドラァグクイーンのような華やかな装いの女性である。猫好きで甘党の永遠の乙女。本名はグロリア・ステラ・ヴェローチェ・ラヴォー(Gloria Stella Veloce Laveau)。どこかで聞いたようなミドルネームである。

 グロリアーナは芸能活動以外では、飲食業や不動産投資などの事業で成功している。彼女はアヴァロンシティでも指折りの富裕層であり、有望な若者たちを食客にしている。そして、その一人を養子にしている。彼女は生涯独身であり、実子はいない。蓬莱 ホウライ州の〈村雨エレクトロニクス〉社の社長村雨信乃 むらさめ しのとの交友関係がある。ちなみに、グロリアーナは競走馬の馬主であり、自らも乗馬を趣味にしている。他には、ぬいぐるみやビスクドールのコレクターでもある。

 グロリアーナの両親は共に、クラシック音楽業界で活躍した人たちである。特に父親は大物指揮者として名高く、母親も名ソプラノ歌手であった。そんな両親のもとで育ったグロリアーナ自身も、音楽大学で声楽を学んでいる。彼女は若い頃はミュージカル女優として活躍していたが、当時は本名の「グロリア・ラヴォー」を芸名にしていた。後に現在の芸名に変えたのは、ある夜に見た夢の「お告げ」によるものらしい。グロリアーナ曰く「〈ユーフォロフォニー(Euphorophony)〉という名前の美しい虹色の女神様からのお告げがあったのよ」。


 1月31日生まれ。身長164cm。好物はローズヒップティー、リンゴのコンポート、栗ようかん、ルビーチョコレート、ミディアムレアのビーフステーキ。前述の通り、彼女は乗馬を趣味にしているが、他にも水泳などで自らの身体を鍛えているバリバリの健康オタクである。それゆえに、下手な若者よりもよっぽど身体能力が高い。趣味は他にも、家庭菜園で野菜やハーブなどの栽培をしており、フォースタス・チャオやアスターティ・フォーチュンは、たびたび彼女から作物をおすそ分けしてもらっている。

 グロリアーナが経営している飲食店には、〈アガルタ〉生まれのバールたちが雇われているが、それは彼女が〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉に賛同しているからである(それゆえに、彼女の食客たちの中にはバールたちが何人かいる)。その姿勢の通り、彼女はプレスター・ジョン・ホリデイのような差別主義的な政治家は支持しない。それゆえに、ホリデイの「宿敵」であるコートニー・サトクリフ大統領を支持しているが、コートニーとは若い頃から交友関係があった。

 前述の通り、彼女は生涯独身でいたが、少なくとも若い頃は、それなりに男性遍歴の噂があった。しかし、彼女は決して恋愛至上主義者ではなく、人生の楽しみは色々とあった。彼女は普段から、ゴシック系やロリータ・ファッションなどの服を好んで着ているが、この辺りからして、男性ウケを度外視しているのは明らかだ。芸能人としてのグロリアーナはファン層が幅広く、子供やティーンエイジャーからの人気も高い。


 人形は、マテル社のメアリー・ケイト・オルセンの人形のヘッドに再植毛と再塗装をしたものを、セキグチmomokoボディに付けたもの。私はこのヘッドを派手な髪色・髪型にカスタムして「こりゃ、ドラァグクイーン設定のキャラクターでないと難しい」と思っていた。しかし、首穴は成人男性型の素体には付けられないし、お子様キャラクター用ミニ素体に付けるのも無理がある。

 しかし、よくよく考えてみれば、シスジェンダーの女性有名人にも、ドラァグクイーン的な魅力を売り物にしている人が何人かいる(レディー・ガガが典型例だね)。確かに、自らがいわゆる「生物学的女性」でありながらも「女のパロディ」を演じる人はいる。それで生まれたのがマダム・コンピーだ。

 とりあえず、トランスジェンダー当事者設定のキャラクターは、本人の性自認によって、キャラクタードールとしての性別に振り分ける。ただし、性別移行を果たした後の姿でイメージした上でドール化して、人物紹介記事シリーズで扱う。そうすると、中性・無性などのノンバイナリー設定のキャラクターはどうなるのかが問題になるのだが、その場合は便宜上「Others」というカテゴリーにまとめておく。男性型ドールが「m.1」「m.2」、女性型ドールが「f.1」「f.2」とシリアルナンバーが割り振られるのに対して、中性・無性・ノンバイナリー設定のキャラクタードールは「x.1」「x.2」とナンバーを割り振る。


No.44/f.32 岸和田小夜子(Sayoko Kishiwada)

 ①『Avaloncity Stories』第一部のキャラクター。芥川蘭子の友人。某サブカルチャー雑誌のライター。某地方都市出身で、元キャバ嬢。一時期はお笑い芸人の卵だった。元キャバ嬢がこんな容姿…? いいえ、女は「化ける」のですよ。お笑い芸人としての「そういう化粧」なのです。

②『Avaloncity Stories』第二部の外伝に相当する小説『Babelcity Explode』の登場人物。地下エリアのカフェバー兼便利屋〈ステイゴールド〉で、芥川蘭子と一緒に雑務の仕事をしている。一見だらしないグータラ女だが、いわゆる「姥皮」を被っているのかもしれない。とりあえず、まともな化粧をしている時はそれなりにキレイだろう。

 立花エレクトラ、北条シグニィ、芥川蘭子、そして岸和田小夜子。彼女たち〈ステイゴールド〉は、バベルシティの地下エリア〈リンボ・タウン〉で生まれ育った。孤児である彼女たちは、地上エリアから「降りてきた」上級女性 アルファである医師曲直瀬青華 まなせ せいかや男性私立探偵最上 もがみファルコなどの大人たちに育てられた。

 地下エリアには地上エリアのようなまともな教育機関はないが、その代わり私塾が点在しており、住人たちはそこで色々と学んでいる。それらで地下エリアの住人たちに読み書きを教えているのは、主に元々地下エリアの住人だが、中には曲直瀬青華などのような地上エリアからの「亡命者」たちもいる。曲直瀬ら亡命者たちは、バベルシティ上層部の体制を覆すために地下エリアに降りたのだが、それは単なる「アルファ」同士の権力闘争ではない。

強者女性 アルファたちが〈アルファ〉たる所以はね、彼女たちが他の女たちを踏み台にして、蹴落として、成り上がったからなの。そんな女たちが『フェミニズム』やら『シスターフッド』やらを口にするのはお笑い草ね」

 小夜子らの育ての親である曲直瀬青華は自嘲気味に言う。かつての自分自身もそうだったと、彼女は自覚している。バベルシティの地下に文字通り潜り込む反体制派は、弱肉強食の世界から人々を解放するために、バベルシティという「魔都」の体制を覆す必要があるのだ。


 2月1日生まれ。身長160cm。好物は焼肉、豚足、エビ天丼、味噌カツ、クリームあんみつ。野菜は苦手気味なので、その分の栄養素はサプリメントで補っている。かなりのヘビースモーカーだが、『Babelcity Explode』ではヴェイプ(電子タバコ)を愛用している。ちなみに〈ステイゴールド〉には喫煙者は彼女しかいないので、他のメンバーたちの迷惑にならないようにヴェイプを吸っている(私は嫌煙家なので、よく知らないが、ヴェイプには普通のタバコのような害はないらしい)。

 趣味はテレビゲームなどだが、他には新聞や雑誌などの切り抜きでスクラップブックを作っている。これは絵を描く代わりではあるが、さらに情報収集の意味もある。ちなみに私自身も、若い頃は雑誌の画像を切り抜いたのを集めてスクラップブックを作っていた。これは、ファッション雑誌などの切り抜きを保存するのにちょうど良いが、読者投稿欄にある面白いネタを保存する事もあった。そういえば、かつて週刊少年ジャンプの巻末にあった読者投稿ページ『ジャンプ放送局』は、雑誌の読者投稿ページとしては珍しく単行本化されているが、『ドラゴンボール』のパロディ集が特に面白かったね。

 第一部の方の小夜子は、今はなき『ビックリハウス』のような雑誌の読者だったのが、そのような雑誌の記事を書く側に回った人である。彼女はロックバンドやお笑い芸人の追っかけをしていた経験があるが、『Babelcity Explode』の小夜子にはそのような追っかけの対象はいない。そもそも、売れっ子芸能人たちが地下世界に降りるような事態は、まずはないのだ。


 人形はセキグチmomokoドールのカスタム。唇にモデリングペーストを塗って分厚くした。momokoヘッドは塗装を拭い取るとそんなに美形ではないので(失敬)、この子のような不美人キャラクターを作る事が出来る。逆に、アスターティや緋奈らに使っているオビツ27cm女性型02ヘッドだと、不美人キャラクターを作るのは難しい。せいぜい、『ファイブスター物語』のシトロン・メナー王女みたいな目が細い地味系美人を作れるくらいだ。

 私が作る「アヴァロンシティ・ドールズ」は単なる「お人形さん」ではない。少なくとも、単なる「お人形さん」にはしたくない。彼らの製作の際は、いかにキャラクタードールとしての個性を作れるかが問題だ。彼らは私の物語の担い手である。私は彼らの物語の「演者」としての個性を大切にして、人形を製作したい。私の腕では、ネットオークションに出品出来るほどのものは作れないが、あくまでも自分自身の物語のために「アヴァロンシティ・ドールズ」は存在する。