「ようやっと完成したようじゃな」
そうですね、殿。何しろ、「小説家になろう」でのこの小説(改訂前)の第一話の投稿は「2016/03/19 20:23 (2017/10/27 17:38 改稿)」でしたからね。紫苑めは、当初は60話前後を予定しておりましたが、奴は柞刈湯葉 氏の『横浜駅SF』の書籍版を読んで動揺し、それまで書いた連載小説の改訂を慌てて始めたのですね。
『恋愛栽培』も、当小説『Fortune』の姉妹篇『ファウストの聖杯』も、大なり小なり加筆修正をしております。これらは章数を減らした代わりに、一話辺りの長さを増しております。
「なるほど、石狩の迷走女のやる事だな」
まあ、本人は一端 の札幌市民を気取っておりますな。
「それはさておき、『Avaloncity Stories』とは何かな?」
はい、殿。これは「信頼出来ない語り手」を自称する明智紫苑が二十代の頃から(いや、もしかすると十代の頃から)アイディアを温めていたライフワークです。とは言え、最初から小説として企画されたものではございません。
紫苑は子供の頃から漫画家志望でしたが、その夢はいつしか捨てておりました。漫画を描く技術を身に着けられなかった紫苑は、文章とドールカスタマイズという二つの表現方法で自らの物語をつづり始めました。
それが『Avaloncity Stories』です。
この作品群は、最初からそのタイトルではありませんでした。元のタイトルは『Heart of Tiamat』というものであり、主人公たちのイメージは二転三転しました。この作品群は様々な作品の影響を受けておりますが、まずは筆頭として、永野護氏の『ファイブスター物語』があります。さらに、荒俣宏氏の『帝都物語』や冲方丁氏の『マルドゥック・スクランブル』などの作品もありますが、『Heart of Tiamat』の土台は、それらのうちの一つと同じでした。それらに『史記』やアーサー王伝説やファウスト伝説などの要素が組み込まれました。
問題の作品群が『Avaloncity Stories』と改題されたのは、21世紀に入ってからでした。紫苑が小説を書き始めたのは、あの者が携帯電話とインターネットを使えるようになった2010年以降であり、「明智紫苑 」というペンネームを名乗るようになったのはその後からでした。
「紆余曲折あったのじゃな」
五里霧中でもありますな。
「さて、紫苑の次の予定は?」
文字通り、予定は未定です。まずは、習作として、いくつかの掌編を書かせましょう。『信頼出来ない語り手のものがたり』にいくつか、『Avaloncity Stories』掌編集にもいくつか。そうですね…さらに新たな掌編集でも書かせましょうか?
「そういえば久秀、そなたが主役の話の予定もあるな。この『Fortune』にもフォースタスの話として予告編が入っているが、どうなるのかな?」 予定は未定ですよ、殿。
次回作がどうなるのか、私には見当もつきませんが、おそらくその話では、さらに別の誰かが後書きに代えて色々と語る事でしょう。
さあ、参りましょう。緑の星アヴァロンへ。新たな物語が紡ぎ出されるまで、私たちは気長に待ちましょう。グッドラック。
【椎名林檎とトータス松本 - 目抜き通り】